【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

通販サイトを頼んだはずなのに、授かった能力はネットスーパーだった。
ジェルミ
ジェルミ

第26話 1日の始まり

公開日時: 2022年11月20日(日) 16:10
文字数:1,433

 朝になった。

 私は寝間着を着替え、桶に貯めておいた水で顔を洗う。


 水道なんて勿論ないから、ネットスーパーで洗面器と水を購入した。

 便利な生活に慣れた私には『水道ありません、電気もありません』と、言われても馴染んだ生活からは離れられないものね。


 ちなみに購入した水は『六個の天然水』。

 1ケース6本入りだから!!

 なんちゃって!

 きゃはははは!

 はぁ~、朝から一人芝居は疲れるわ。


 昨日は冒険者パーティ『燃える闘魂』の人達が、お友達を連れてきてくれて売上は9人で3,600円。


 ここの家賃が月10万か~。

 目指せ週休二日制なんだけど、やはり所得が低いこの世界ではきついかな。


 後は商人のヤルコビッチさんに卸している、ジャムが定期的に売れればいいけど。


 聞いた話ではこの世界の1年は360日で1ヵ月は30日。

 国王生誕記念のような日以外は、特別な祝日は特にないからカレンダーは30日分が書かれた紙1枚で足りてしまうそうだ。


 すると何やらガヤガヤする外から声が聞こえる。

 なんだろう?こんな時間に? 

 私はそう思い家の横引の入口の木のドアを開けた。


「遅いよスズカさん。いったい何時に店を開けるのさ!!」

 するとそこには『燃える闘魂』のメンバーと、昨日来てくれた『愛のダリーナ』のメンバー5人の他に20人くらいの獣人が待っていた。


「まあ、こんなにたくさんのお客さんが?!」

「今は冬だから日が短く働く時間が俺達は短いのさ。だから食堂は、もっと早く開けてもらないと困るよ」

 ゲオルギーさんが困った顔で私に文句を言う。


「昨日食べたらあまりにも美味しかったから、仲間を連れてきてやったぜ」

 そこには昨日の冒険者パーティ『愛のダリーナ』のドミニクさん達もいた。

「ありがとうございます。お待たせいたしました、『屋台の店シルバー』開店です!!」

「 オォ~~~!! 」


 お客さんが店の中に殺到する。


「スズカさん、ワンコスペシャルを頼みます!!」

 犬族のジョヴァンニさんが叫ぶ!!


「俺はニャンコスペシャルだ~!!」

 犬族のジョヴァンニさんが叫べば、猫族のイングヴェさんも負けじと叫ぶ。

 いったいこれは、なに?


 初めてのお客さんはメニューに戸惑っているようだ。

「じゃあ、俺もそれを頼む!!」

「俺も同じものを頼むぜ!」

「かしこまりました~!!スペシャル入ります~!!」

 そう言いながら後ろを振り向いて厨房に向い声を出す。

 まあ誰もいないけどね…。

 一人だと思われると怖いから、誰か奥にいると思ってもらえれば…。


 メニューを迷う人もほとんどいない。

 なぜなら初めての店に来たときは、よくわからないからメニューのおすすめ品を選ぶのが無難だからね。

 お店にとってのおすすめ品は、利益率の高いものが『おすすめ品』なんだけどね。

 メニューも各2種類だけだから特に問題もなく、どんどんオーダーを出していく。



 そして忙しい時間はあっと言う間に過ぎていく…。



「ありがとうございました~!!」

「また夕方にくるから頼むぜ、スズカさん」

 そう言いながら『燃える闘魂』のメンバーが店を出ていく。


 ドライフードを皿に盛りペースト状の物をかけているだけだから、お客の回転がとても速い。


 今朝の売上は21人で8,000円。

 夜もこれだけお客が来てくれれば、私の食費を入れても十分にやっていける。



 でも問題はその後の洗い物ね。

 だって水道がないから。


 昨日は汚れたお皿を洗うのに、表通りの井戸まで行き水を汲んでそこで洗った。

 やはり水道がないのは不便に感じる。


 それにすぐに洗わないと汚れが落ちにくいし…。

 どうしよう?


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