【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

通販サイトを頼んだはずなのに、授かった能力はネットスーパーだった。
ジェルミ
ジェルミ

第24話 『屋台の店シルバー』開店

公開日時: 2022年11月17日(木) 16:10
文字数:1,628

 冒険者ギルドにお店の宣伝のために私は来ていた。


「スズカさんじゃないか?どうしたんだい」

 声を掛けられ振り向くと、冒険者パーティ『燃える闘魂』の4人だった。


「こんにちは、みなさん。実はお店の宣伝用のポスターを、お願いしようと思ったのですが思った以上に値段が高くて」

「なんだい、もうお店の場所が決まったのかい?」

「えぇ、ヤルコビッチさんから紹介頂いた、場所を借りることになりまして」

「それはよかった。もう食べれるのですか?!」

 犬族のジョヴァンニさんが食いついてくる。

「えぇ、もう開店できます」

「では、これから行っても良いかな?」

「大丈夫です。お店の場所は…」

 そう言いながらチラシを見せ、価格設定を伝え店の場所を教える。


「他の獣人にも声を掛けておくから、スズカさんは先に帰って用意してください」

「わかりました、ジョヴァンニさん。店でお待ちしていますね」

「えぇ、任せておいてください!!」


 そう言われ私は先に店に戻ることにした。


 

 お皿と各フードを用意して、しばらく待っているとガヤガヤと声が近づいて来た。

「お~、ここだ、ここだ」

「こんにちは!スズカさん。やってきましたよ」

 犬族のジョヴァンニさんと、猫族のイングヴェさん、他に5人の獣人さんがいる。

 連れの獣人さんは店の中の価格表を見て驚いている。

 え?!この値段でも高いと言うのかしら?

 きびし~~!!


「本当に美味しいのかよ?」

「そうだぞ、我々用の食事なんて聞いたことが無い」

 連れの人がそんなことを言っている。

 まあ、そうですね。ごもっともです。


「いらっしゃいませ。試しに食べて行きませんか?」

 ワンちゃん、ネコちゃん大好き。

 私は目を輝かせ精いっぱいの笑顔を作って見せた。


 すると連れの何人かは顔を赤らめている。

 やった!!見た目は17歳。

 中身は32歳のおばさんの成熟した魅力が炸裂よ!!

 バンッ、バンッ、バンッ、


 そう言えば私の外見はどうなっているのだろう?

 鏡が無いから、自分の姿を見ていないし。

 後でネットスーパーで鏡を買っておこうかな。

 まあ、この世界に来てから野営だったから、特に必要に感じなかったのね。


「何にしますか?」

「俺はあのペースト状の液体をかけたワンコスペシャルを頼みます!!」

 犬族のジョヴァンニさんが頼めば、猫族のイングヴェさんも決まったようだ。

「じゃあ、俺はニャンコスペシャルを頼みます」

「はい~、ワンコスペシャルと、ニャンコスペシャル入りました~」

 私は雰囲気を出すため、後ろを振り向いて厨房に向い声を出す。


「じゃあ、俺は…」

「俺はこれにしよう」

 そう言いながら連れの獣人の人達も頼み始める。

 まあ、そう言ってもメニューは各2種類だから分かりやすいけどね。


 

 7人分の食事を作りながら、その都度手渡す。

 ここは屋台の店だから椅子はない。

 カウンター台をそのまま使ってもらい立ち食い方式にした。

 そして食べ終わったお皿は食器返却台に下げてもらう。

 食事を作るのも実際はカップで計り、お皿に入れるだけだから手間が無い。

 

「う、うめえ~!!」

「これはうまい!!」

「ワンダフル~!!」

「ニャンだ、これは~?!」


 よかった、みんな喜んでくれている。


 水も無料で提供することにした。

 天然水をネットスーパーで購入し、次回からカップを持参で飲み放題にした。

 だってドライフードは喉が渇くみたいだものね。


 最初は『水の代金を払えるお金は無い』、と言っていたけど、無料だと聞くと驚いていた。

 水でお金をもらったら高い食事代だよ。

 詐欺でしょ。


 ゴク、ゴク、ゴク、

  ゴク、ゴク、ゴク、ゴク、


「う、うまい水だ」

「本当だ。こんなうまい水が飲めるなんて信じられない」

「水が飲めるだけでも、値段以上の価値がある」


 よく見るとみんな尻尾をブン、ブン振っている。

 耳だけでは種族はわからないけど、尻尾を見ると少しはわかるかも。

 猫族の尻尾は細く器用に動く、そして犬族はフサフサの尻尾かな。


「ごちそう様~」

「また明日の朝、来ます」

 そう言うとみんな帰って行った。


 こうして順調に1日目はスタートした。

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