「私は悲しい涙を一つ落として」
私は悲しい涙を一つ落として
そこから美しい芽が出てくる
巨大な伽藍堂の中で祈りを捧げ
誰もいないところで私は一つの天体となる
嬉しい思いが沸々と湧いては
私を悩ませる世界の神秘に 私は身を寄せている
万物が私の足元にしかれ 私は私は私は 光の盃を飲む
「詩人は無邪気」
美しいという観念が生まれる時
詩人は恍惚とする
叡智が始まり芸術が終わる頃
宗教が始まり詩が終わる
詩人はいつだって無邪気さ
陽気な歌を描いて煙草を吸う俺
沈みゆく時 悪の歌を詠む俺
詩人はいつだって無邪気さ
何故なら詩人は天使にも悪魔にもなることが出来て
絶えず自分を産み落としていくのだから
しかし詩人の苦悩というやつは高貴だ 怒涛の嵐だ
絶えまない労働の果てに産まれる詩に 名もなき魂を添える
「私の宿命」 深淵より苦悩が生まれる 私の華は陰鬱な顔を見せる 忽然と驚異に襲われ 私は私の身を星々に晒し 己が恐怖を養っていた 私の純潔なる清き記は 儚い情緒を照射して 私は私を失うかな 極光が差す その絶対的な彩りは私を苦しめ 永劫の時を垣間見るかな されど私の女体の白い鍾乳石の 脆い腕で私を抱きしめ 極光のさなか私は慄然とする 神々が天空の縁で詩歌に遊ぶ 酩酊の中神々は私を彩り 美を与えた 私の宿命は 悲しい歌に添えられたオードのようだ さはれ私は泣く その涙の澄明さよ 又麗しい魚の指のその白さよ 運命という遠心力のさなか 私は流転するだろう 近い未来に 私は私を放つ詩歌を詠む ここで私は自由となる 私の相貌の 儚きことよ美しきことよ 全て死ね さはれ私は舞う 至高の花々よ その栄華極めたる 無限の照射よ 私を砕け その無垢な翼で私を打て 天使よ 桔梗は咲くその時の移ろいの 何たる儚きことよ 全ての花は 散りゆく 枯れ 捨てられ 私はその上で踏みしだく 白い貝殻のように私の身は 青い花々の上で淑やかに眠る 天地開闢以来の美しい極点を示す神よ ミネルヴァ 私に霊感を与えよ そして私は剣をもって闘争する 否 私の闘争は私の苦悩のうちに 萎んでゆく 真理の光よ 永遠であれ 私は真理を崇める 全てを犠牲にして 私は孤独を生き耐え いつの日かその頭に花飾りを差して このうえない月光の美しさに眸を向け 私は祈る 久遠の時を過ごし 苦悩を養い 私は美しく清いそして無垢 廃れた世に私の存在は稀有だ 噫ポエジーが降る幾千の雨のように 私を潤しそして輝くあらゆる物質が 光輝き朽ちてゆく 呪われた時よ 去れ 悪魔よ 亡者を苦しめる悪魔よ 去れ 私は久しく孤高であり 純粋なる想念のうちで あらゆる創造を為した 噫万物よ静まれ その無限の運動よ 凪げ 漆黒のルシフェルよ その頭上に輝く輪よ その人間を砕く力よ 残酷なる花々のように あなたは君臨する その不敬の業を重ね あなたは人間を砕き 神に抗う 天使ガブリエル あなたは毅然として 聖女マリアに告知した その神秘よ 秘儀よ 私はあなたを好く その不気味な微笑を 噫ガブリエル 神を放つその驚異よ 私は流れ 白い苦しみを訴える 暗礁 天下孤高 私は流れる いつの日か私は海を思う その母なる海を 獰猛で もまれ 私は清くあり 滝津瀬の髪を靡かせて 私は私の身を天使に委ねる 私の安寧よ 私の平和よ そして私の闘争よ 全ては神に委ねる
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