若き葛藤の書物

原氷詩集
原氷
原氷

ユマニテ

公開日時: 2023年7月19日(水) 23:32
文字数:394

人間性とは何か ふと思惟にふける

また 私は人間を始めただろうか と願う

肉体を与えられた

精神を与えられた

私は一体 何のために生まれたのか

世界が宙づりになる

無意味な世界がそこにある

ただの実在が 無意味になる

詩人であることの 栄光と屈辱も忘れて

ただ畔を歩く仏になりたい と欲す

 

生きがいを探す時代もあり

死ぬ理由を探す時代もあり

ただ生を蕩尽していた時代

私は永遠を浪費した詩人だった

まどろみの中にさまよい

人格を磨きたいと願い

また人間を始めただろうか と疑問し

あらゆる人間を知りたいと思った

だが、それは 肉体を失うことじゃなかったのか

 

私は不死鳥の罪と罰を与えられたのだろうか

死にたいと願いながら

死んでもなお生き返る不死鳥

淫らな女性に恋をしていれば

よもやすると安楽があったのかもしれぬ

 

龍とは悪を根絶した人だ

天使とは善だけを為す存在だ

恥を知った時

私は私の卑劣さに 怒りを覚えた

神々との対話は果てることなく

また新生が始まるだろう

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