大男のような大きな足音が徐々に近づいてくる。ぞりぞりとゆっくりと歩くその足音は、どこか片方の足を引きずっているようだ。
そこで、リリーは恐怖した。
だが……パタンっと、もう一つドアの開閉の音がした。
大男のような大きな足音が途切れた。
歩くのを止めたようだ。
引きずる大きな足音の代わりに、静かな足音がこちらへと来る。
いや、違う。
何者かが、こっちへと来る。周囲の元々寒い空間の温度が急激に低下した。リリーはガクガクと震えたが、それは恐怖と寒さも混じっていた。
「大丈夫か?」
非常に冷たい声が聞こえた。
――――
モートはリリーの拘束を解いた。
体中に頑丈な鎖が巻いてあったのだ。
「君は、聖痕というものを知っているかい? あるいは、どこかにその……不思議な傷はあるかい?」
「……昔、不思議な傷が足の裏にあるって、お医者さんが言った時があるわ……」
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