「じゃあ。ぼくは次の収穫のところへ行くから」
「……待って! 私の他にも人はいないの? 助けてくれたんでしょ! 私の記憶がなくなる直前、覚えているのは今朝のバスの中だけ。バスの中には大勢人が乗っていたはずなの!」
リリーのさっきの態度とは逆の懇願した言葉に、モートはこっくりと頷いた。けれども、すぐに首を横に振った。
「ここにはいないんだ。少なくてもこの周囲には……」
「ここは、どこなの?」
「ホワイトグレートの麓のログハウスだ」
「……ホワイトグレート……?」
「そのログハウスの地下に君はいたんだ」
「リリーよ。リリー・フィラデルフィア」
モートは思った。
この少女は間違いなく聖痕の持ち主だと。
だが、まだバスから、消えたかそれとも誘拐されたかの人々がいるようだ。
そこで、モートはあることに気がついた。
目に見える魂の色は、当然。
生きていないと、見えないのだ。
なので、恐らくは……。
もうこの世には、いないのだろう。
だけど、モートは周辺を探しに行った。
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