夜を狩るもの 終末のディストピアⅡ meaning hidden

人類の終焉に死神が人類側に味方した物語
主道 学
主道 学

30

公開日時: 2024年8月16日(金) 19:40
文字数:414

「じゃあ。ぼくは次の収穫のところへ行くから」

「……待って! 私の他にも人はいないの? 助けてくれたんでしょ! 私の記憶がなくなる直前、覚えているのは今朝のバスの中だけ。バスの中には大勢人が乗っていたはずなの!」


 リリーのさっきの態度とは逆の懇願した言葉に、モートはこっくりと頷いた。けれども、すぐに首を横に振った。


「ここにはいないんだ。少なくてもこの周囲には……」

「ここは、どこなの?」

「ホワイトグレートの麓のログハウスだ」

「……ホワイトグレート……?」

「そのログハウスの地下に君はいたんだ」

「リリーよ。リリー・フィラデルフィア」


 モートは思った。

 この少女は間違いなく聖痕の持ち主だと。


 だが、まだバスから、消えたかそれとも誘拐されたかの人々がいるようだ。


 そこで、モートはあることに気がついた。

 目に見える魂の色は、当然。

 生きていないと、見えないのだ。


 なので、恐らくは……。


 もうこの世には、いないのだろう。


 だけど、モートは周辺を探しに行った。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート