モートは、クリフタウンに聳えるホワイトグレートの麓から下山していった。そして、全速力で走っていた。赤色の魂が、聖パッセンジャービジョン大学付属古代図書館の館内に見えたからだ。
だが、当然。その魂は一つだけだったが。他には、その赤色の魂の周りには、おびただしい数の黒い色の魂がある。いや、赤色の魂へと集まっていた。モートはその人物の生命の危険と判断した。
血の雹は未だ激しく降り注いでいて、周囲からくぐもった声と灰色の魂が見える。モート自身は灰色の魂は初めて見る色ではなかった。灰色の魂は、限りなく黒に近い。あるいは、近づいている色だ。危険を意味してもいて、また、救いもあるのだろう。
モートは、それを無視して走っていた。地面の雪の凹凸は気にならない。木々も気にならない。身の凍るような極寒の強風も。急いで、逃げ出す野生の動物も。
さっきまでいたログハウスからは、聖パッセンジャービジョン大学付属古代図書館まで一直線だった。その時、館内でけたたましい悲鳴がした。モートは地を蹴って、図書館の窓まで飛翔した。
ガラス窓を通り抜けると、赤色の魂の周囲の廊下中に溢れた。ゾンビの群れに狩り込んだ。瞬時にゾンビの首を全て狩り取ると、赤色の魂の持ち主の方を向いた。
その人物とは、蹲って、この上なく青い顔を下へ向け涙を流しているヘレンだった。
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