ここは、ホワイトシティのクリフタウンという場所。
山に面した子供たちの通学路で。
雪の積もる殊の外寒い夜だった。川辺に一台の普通自動車が止まり、一人の男が静かに降りた。それから、懐の中から男は手に、右手にガムテープと左手に薬品が染みこまれたハンカチを取り出した。
空には大きな白い月が浮き出ていた。
シンと静まり返ったその夜の中へ。一人の赤い髪の少女が草木覆う細道を歩いてくる。男は慎重に近くの草むらに身を隠した。息を大きく吸って、草むらから飛び出そうとした。と、その時。
ザンッ!
一際、大きな鈍い音と共に、草むらに隠れていた男の首があらぬ方向へ、滑り落ちる。白い雪の積もった草むらに鮮血が飛び散って、真っ赤になった。
真後ろには、いつの間にか黒のロングコートで、銀髪の長身の男が銀色の巨大な鎌を持ち突っ立っていた。
「うん?」
銀髪の男は、近くを何事もなかったかのように、通り過ぎていく少女の右手首に、目立つ傷があることに気が付いた。
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