モートは次に、西へ行ったところのロマネスク様式の建築物が建ち並ぶ。呻き声が木霊する住宅地へと走った。赤い魂が一瞬だけ見えたからだ。住宅と住宅の接点である交差点に垣間見えて、その後すぐに忽然と消えてしまった。辺りは依然としておびただしい赤黒い雹が地へと落ち、道路で四方へと弾けていた。住宅地には、なだれ込むかのように漆黒の魂のゾンビの数も更に増えている。
急いで、交差点へとたどり着くと同時に、モートは周囲のゾンビを狩り始めた。腐敗した肉体の部位を刈り込んでいくと、ゾンビの集団は数秒でまったく動かなくなった。赤黒い雹で、住宅地の地面は真っ黒だったが、それをゾンビの腐敗した身体が埋め尽くしていく。
交差点を右に曲がると、辺りには生きた人間はいないので、赤色の魂の持ち主はどうやらここの地下。マンホール内などにいるのではとモートは考えた。
なので、別の生きた人間が関わっているのだろう。
だが、呆気なく赤色の魂の持ち主の居所がわかった。住宅地のロマネスク様式の一軒家の地下室らしき場所に魂が六つあったのだ。
一つは赤色の魂。もう五つは、真っ黒な魂だ。
―――
マリンシス・ラオデキアはまさか自分の家の隣に、これほど異常な兄弟がいるとは夢にも思わなかった。
周辺を埋め尽くしていくゾンビから避難している最中に、交差点に差し掛かった時。一番親しかったお兄さんに声を掛けられた。安全かとついていくと、何かで頭を殴られ途中で気を失ったようだ。
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