ヘレンはこっそりと、ノブレス・オブリージュ美術館のサロンから廊下へ出た。恐らく、天使のオーゼムは気がついているだろう。だけど、ヘレンはアーネストのことがとても心配だった。館外は未だゾンビアポカリプスが発生していて、非常に危険だった。けれども、ヘレンは外へどうしても出たかったのだ。
勇気を決して、玄関から外へ出ると、ホワイトシティは赤黒い雹が真っ赤になった空から降り注ぎ。道路を埋め尽くすかのようなゾンビが蔓延る凄まじい光景になっていた。
ヘレンは慎重に大き目の傘を差すと、赤黒い雹に気をつけて聖パッセンジャー・ビジョン大学付属古代図書館へと向かった。
多くのゾンビによる歯型や爪跡で破壊された路面バスは、当然使えそうもないので、仕方なく歩いていくことにした。
クリフタウンにある図書館への数十ブロックが、今のヘレンには永遠とも思える長旅だった。
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