夜を狩るもの 終末のディストピアⅡ meaning hidden

人類の終焉に死神が人類側に味方した物語
主道 学
主道 学

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公開日時: 2024年12月6日(金) 13:43
文字数:743

 下卑た笑い声が、木霊する狭い地下室で、5人兄弟が手もみをしながら、、最初は誰か? と話し合っている。

 

 しかし、マリンシスにはその最初というのがよくわからなかった。

 彼らの後ろには、今まで見たことのない大型機械があったのだ。ミンチマシーン? そうとも言えるような意図で作られた機械だった。


 そうとわかると、マリンシスはガタガタと震えだした。幸い。身体は自由に動けた。ズキズキとする頭を抑えなければならないが、至って走って逃げることはできそうだ。だが、どこへ?


 ゾンビが徘徊する外へと出て。それから一体どうなるのだろうか?


 と、いきなり。黒い物体が天井から降ってきた。そのままコンクリートの地面に着地すると、目にも止まらぬ速さで、五人兄弟に向かって、右手を一周するように横に振った。


「なんだ?!」

「こいつ!!」

「……あれれ?」

「……」

「……」


 次第に彼らの発声する声が、途絶えてきて五人兄弟の首が静かにずり落ちていく。黒い物体は、黒いロングコートを着ている美しい銀髪の男だった。こちらに振り向くと、ニッコリ笑った。

 

 そこで、何故かホッとしたマリンシスはしばらく銀髪の男を見つめていた。


「君は身体のどこかに聖痕はあるかい? あるいは、傷や文字のようなものが最近になって、腕や足などに浮き出てこなかったかい?」


 なんとも優しい声に、安心感を抱いたマリンシスは正直に話そうとした。 


「……聖痕……」

「ああ、なければいいんだ。さあ、安全なところまで君を送ろう」


 銀髪の男がこの地下室の出口へ歩いて行く。


「え! あの!」

「なんだい?」

「一週間前に、教会の帰りで空を覆うような光を見たわ。最初幻覚だと思ったのだけど、その時から掌にこういう模様がついたの。まるで、杭を打たれたような傷にも見えるのよ。きっと、これが聖痕かもしれない」

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