夜を狩るもの 終末のディストピアⅡ meaning hidden

人類の終焉に死神が人類側に味方した物語
主道 学
主道 学

21

公開日時: 2024年1月29日(月) 19:51
文字数:552

「ジョン……あなたは一体? それと……レメゲトンをどう使うのかしら?」


 ヘレンという人がアンリーの傍で、独り言をごちた。


 人通りのない東館の色とりどりの絵画のある廊下を進むと、二つの螺旋階段のある広大なサロンへ続く扉を見つけた。アンリーは何故かちょっとここへ来ただけなのにノブレス・オブリージュ美術館の館内でどこになんの部屋があり、どんな骨董品や調度品、絵画、銅像などがあるのかも、何故かわかるようになっていた。


「そういえば、もう閉館時間よね」 


 アンリーは呟くと、だが、明るいサロンは高級な服装の貴族の人達が談笑したり、飲み物や小料理を楽しみ。歌を聴いたりしている社交の場となっていた。


「どうしたの? お嬢さん?」


 煌びやかなドレスを着た貴婦人に呼び止められた。


「あ、あの……ここで待っていてって、言われたの」

「あら、ヘレンさんのお知り合い?」


 貴婦人はサッと左手を上げると、黒を基調としたボーイが音もなく駆け寄り。トレイに載った日本茶を勧めてきた。

 

「あなた。何かあったのね。でも、もう大丈夫よ落ち着いて」

「ええ……。ええ、ありがとう」

「ここだけの話。私の叔父はここホワイトシティの市長なの。困ったことがあったら何でも私に聞いていいのよ」

「……そ、そうなの?! ありがとう。でも、もういいわ。あ! モートが来てくれたわ!」


読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート