良くも悪くも、星の回転は止まらない

詩集です。各話がそれぞれ一つの作品となっております。気になったページをめくっていただけると嬉しいです。
月澄狸
月澄狸

背比べ

公開日時: 2021年3月10日(水) 07:07
文字数:291

RPGみたいに


ボス倒せば平和になる


シンプルな世界なら良かっただろうけど


そうもいかないんだ



どんな悪人にも


心臓や脳や肺がある


同じような作りで


同じような血が通っている



人類皆兄弟


似たり寄ったりさ



人間だけじゃない


ヤモリの手にも五本の指がある


節足動物にも表情がある


ライオンやトラも溺れりゃ苦しい



似たり寄ったりだろう



誰かの心が痛む限り


「そんなの別にいいじゃん」と


他の誰かが言ったって


人類は考えることをやめない



悪を倒すこと


犠牲を生むこと



たとえ差別も戦争もいじめも


動物虐待も貧困も格差も


すべて無くなったとしても


終わらない 止まらない


人の頭は星と共に回り続ける



すべてが止まり


すべてが動かなくなる


その時まで



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