良くも悪くも、星の回転は止まらない

詩集です。各話がそれぞれ一つの作品となっております。気になったページをめくっていただけると嬉しいです。
月澄狸
月澄狸

記憶を書き換えます

公開日時: 2021年3月13日(土) 00:01
文字数:438

「あの時ああ思っていた」

って言葉、

記憶、ほとんど嘘

……なのかも……?


自分の記憶と相手の記憶、噛み合わない


ついつい自分の都合のいいように

過去のことを言い換えてしまっている

多分ね


「前にこんな事があってさ……」


あれ? もしかして間違ってる?

記憶と情報認識力に自信が持てない


思い出って曖昧だな……

それに自分の視点でしか見られない

確認のしようもない



どうせ塗り替えてしまうのなら

こっそりと、あの過去を

取り出して遊んでみよう

そしてまたそっと心にしまうんだ


クラスに馴染めず

一人静かに過ごした教室

「学校」の思い出を

自分色に塗り替える


何百人もの人間と

共に過ごすって、なんて素敵

「心」の宝庫だ

いろんな人がいたんだろうな

ほとんどの人と関われないまま終わったけど

あの時、確かに私たちは

同じ所に通った、仲間だったんだ


並んだ机

授業の光景

ピアノの音

吹奏楽部の、練習の音

運動部の掛け声

ボールが跳ねる音

ホイッスル

それぞれの教室の匂い

喋り声

時計の音

日の差す窓と、

そこから見える景色



……あの時、

楽しかったな

幸せだったな



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