「あなたは不幸にもガス漏れによる中毒死で亡くなってしまいました」
見知らぬ綺麗なお姉さま系美女に突然の死亡宣告をされたブラック企業勤務の三十路男性である俺。
「しかし、幸運にもあなたの生前の善行によりその魂を我が世界へ引き取る事に——」
長そうな説明を聴き流しながら谷間ガン開きのコスチュームから見える美しい二つの半球を凝視する。
「——魑魅魍魎が蔓延る我が世界に秩序をもたらす為、あなたが望む力を与えましょう」
「……じゃあド〇クエの主人公の力が欲しい」
「よいでしょう。今あなたが望んだ力を与えました。これから先の前途多難な道のりを乗り越えていけるよう幸運を祈ります」
俺の身体が光に包まれて少しづつ消えていく。
見知らぬ異世界での心躍らせる大冒険が俺を待っ……ていなかった。
ちょっと不幸なアラサーおっさんが現代を『まほう』と『とくぎ』で生き抜くおっさん以外日常系の物語が今、幕を開ける。