おっさん異世界転生失敗!現代をとくぎ&まほうで成り上がれ!

定春
定春

目覚め

公開日時: 2023年10月13日(金) 20:33
更新日時: 2023年10月13日(金) 20:38
文字数:1,614

 ましたらそこはしろ部屋へやでした。

(なんだここ?おれ貧乏賃貸ワンルーム・キャッスルは?)

 まわりをてもオールしろ天井てんじょうゆかすべおないろ境界線きょうかいせんからない。

「あなたはガスれによる中毒死ちゅうどくしくなりました」

「うぉっ!?」

 いきなりまえあらわれたのは身長しんちょうたかめのハリウッド女優じょゆうみたいにグラマラスボディなちょうきゅう美女びじょ

 そんな美女に突然とつぜん死亡宣告しぼうせんこくをされてしまった。

「しかし、幸運こううんにもあなたの生前せいぜん善行ぜんこうによりそのたましい世界せかいことに——」

 ながくなりそうな説明せつめいながしながら谷間たにまガンびらきのコスチュームからえるうつくしいふたつの半球おっぱい凝視ぎょうしする。

「——魑魅魍魎ちみもうりょう蔓延はびこ世界せかい安寧あんねい秩序ちつじょをもたらすため、あなたがのぞちからあたえましょう」

 そんなスゴいのもらえるの?

「え、じゃあド〇クエの主人公しゅじんこうちからしい」

「よいでしょう。いまあなたがのぞんだ力を与えました。これからさき前途多難ぜんとたなんみちのりがすこしでもらくえていけるよう幸運こううんいのります」

 そううとハリウッド美女はったつえを天井にかかげた。

「……っ!」

 そのポーズの変化へんかでちょっと谷間おっぱい片寄かたよったのをのがさず見ていたら俺の全身ぜんしん視界しかいひかりつつまれてえていき……。

「これ大丈夫だいじょうぶ成仏じょうぶつさせられてない?」

 俺の意識いしきはそこで途絶とだえた。



女神めがみさまIアイカップぅ!!…………あれ?」

 われながら最低さいてい寝言ねごとばしたものだとおもいつつきたがコレは……。

「アタマいたっ!!っていうかガスくさっ!!そんでもってココ俺の貧乏賃貸ワンルーム・キャッスルっ!!!!」

 異世界いせかい転生てんせいならず。

「しかもまどガラスれてるし……なんだコレ?野球やきゅうボール?」

 ゆか散乱さんらんするガラスの破片はへんと窓にいたあなからさっするに、どこぞのガキンチョが俺のいえにホームランをキメてくれたらしい。

「いやまぁそのおかげでいのちびろいしたんだけど、俺の異世界転生が……」

 馬鹿ばかげたことを言いつつも頭をポリポリときながらガスの元栓もとせんめにく。

「っていうかガス漏れも窓も大家おおやさんに電話でんわしないとな」

 掃除機そうじきっぱりしてガラスの破片を片付かたづける。

 おおきな破片はひろってチラシで包み、こまかい破片を掃除機でう。

「あ〜、でもワンチャン異世界あったのはヤバいな。月曜げつようのテンションいつもよりめっちゃがるだろうなぁ」

 窓の穴からいつもよりクリアにこえるセミのこえ

 つくえうえのタバコのはこから一本いっぽんしてくちくわえる。

「はぁ一服いっぷく一服……」

 ライターでタバコにけようとしたそのとき

 ピンポーン

 玄関げんかんのチャイムがった。

「タツオにいちゃんごめーん!ボールばしちゃったからちょーだーい!」

 このこえは……。

「飛ばしちゃった〜じゃねぇっつの!駐車場ちゅうしゃじょうでティーバッティングするなって散々さんざん言われてるだろ!」

 ドアをけたら日焼ひやけしたはだ地元じもと球団きゅうだん野球帽やきゅうぼうかぶ見知みしったクソガキがニコニコしながらっていた。

「ホントごめん!昨日きのうのテレビでやってた満塁まんるいホームランをちたくて」

「満塁ホームランは一人ひとりじゃ無理むりだろ……っておまえあせだくだくじゃねーか。みずとアイスやるからちょっとがってけ」

「わーい!」

 俺をタツオ兄ちゃんとぶこのクソガキは大家さんのまごのユウキだ。

 たまに入居者にゅうきょしゃいえ突撃とつげき訪問ほうもんをカマしてくるが俺以外いがいの入居者からは評判ひょうばんいらしい。

 さっきはちょっと怒鳴どなったがぶっちゃけいのち恩人おんじんなので水分補給すいぶんほきゅうとアイスをわせるくらいはしてやろう。

「タツオ兄ちゃんテレビつけっぱだけどゲームしてたん?ド〇クエっぽいけどってるやつと全然ぜんぜんちが〜う」

 換気扇かんきせんまわして冷蔵庫をあさる。ア〇エリとガ〇ガリ君をくれてやろう。

「それ、お前がまれる前のやつだぞ。俺が小学生しょうがくせいの時に発売はつばいされたくらいふるいレトロゲー」

 あのころはゲームハードも初代しょだいだったのにいまやシリーズをかさねて最新機種さいしんきしゅ五代目ごだいめなんだもんな。

「やってみても良い〜?」

 ガ〇ガリ君をべながらユウキがいてくる。

「良いぞ。ちょっと電話するからしずかにしててな」

「はーい」

 ガス漏れと窓のけん連絡れんらくして……ユウキがウチにるおかげではなしはやそうだな。

 セミの声がひびなか、俺はスマホをらした。

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