葬式戦線ハンニャ・サガ

おじいちゃん、なにしてくれてんの
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第5話 猫とロボットアニメ

公開日時: 2020年10月17日(土) 18:20
更新日時: 2020年11月27日(金) 21:32
文字数:6,765


【1】


 ネコ

 食肉目ネコ科ネコ属。我々と同じ、哺乳類。可愛らしく、気高く、しなやかで、すばしっこい生き物。高所からの落下に耐え、魚を好むとされる、小柄な動物。

 愛玩動物として人気が高く、家畜化の歴史は長い。

古くは、エジプト文明のヒエログリフにも人と猫の交流が見て取れる。ちょこんと座った猫の象形文字は、とてもかわいい。

 かわいい猫たちが太古より人類の友であったのは確かだ。

 猫とは家族であり、愛すべき隣人。


 そして、「異種族」である。



【2】


 塩垣一華は、鬼の後を追っている。

 青白い火の手の方向に向かい、2人は駆けていく。先を走る鬼は、とある荷物を背負っていた。

 やや“サイバー”な見た目のこの鬼、出発前にこの荷物を持ち出していた。ベンチから立ち上がると、背後の雑木林にごそごそ分け入り、“謎の物体”を持ちだした。

(こいつは、かさばるんでな)

 鬼の荷物は直径1m弱で、平べったい〈〉のような物体だった。

(邪魔になりそうだったんで、置いておいた)

 ところどころに鋲《ボルト》が打ち込まれた蓋つきの〈鍋〉には、取っ手のように太い紐が渡されており、たすき掛けで背負うことができる。

「あの……その荷物は?」

「あー、ええと、地獄の同胞はらからだ。……息が切れるぞ、口を閉じて走れ」

 公園でのことを思い出しつつ、黙って鬼の後を追う一華。

 夜道ですれ違う近所の人々は狂乱し、叫んでいる。

 最初に向かう予定だったコンビニをとうに通り過ぎ、そしてとうとう、青白い炎の火元にたどり着いた。そこで一華は、驚愕の光景を目の当たりにした。


「う、うそ……?」

「ほほう?」


 二人の巨人が、市街地で暴れている!


 方や、馬頭を象る兜をかぶり、右手には穂先のえぐれた馬上槍《ランス》のようなものを持ち、四本足で住宅街の合間合間を跳ね回る。

 伝承の中の“ケンタウロス”のようなシルエットの巨体――――これは、〈人馬〉。


 方や、“ほっかむり”を被ったような頭、左手で錫杖のような長物を持ち、法衣を思わせる“装甲”を身にまとい、路面にどっしりと仁王立ちする。

 “喉仏”の骨を思わせる末広がりのシルエットの巨体――――これは、〈僧兵〉。


 この二つの巨大な影――――固い鎧に身を包んだような影が、市街地の空中で、地上で、ぶつかり合う。

 手にした得物えもので互いの急所を狙い、突き、薙ぎ、を放つ。鍔迫り合いで青い火花を弾けさせ、狙いの外れた閃光が街に落ちるたび、青い火の手が上がる。

 〈僧兵〉の放つ“閃光の弾”を間一髪でかわし、住宅の屋根を足場に跳ね回り、4本の足による巧みな“足さばき”で迫る、〈人馬〉。

 〈人馬〉の猛烈な乱れ突きを錫杖でいなし、体をそらして“後ろ蹴り”を防御し、路面を蹴って距離をとる、〈僧兵〉。


 間車まくるま市の市民――――夜の街に出てきた罪なき群衆は、この戦いを間近で目撃した。

 近所のご婦人は、恐れおののいて頭を守る。

 鎖間院くさりまいんの若い僧侶は手にしたビニール袋を取り落とし、「南無三」と唱える。

 コンビニ店員の兄ちゃんは、自宅の方は無事かとはらはらする。

 物好きな女性は、目の前の光景をスマホで撮影し、SNSに投稿する。

 悲喜こもごもの群衆の端には、サイバー鬼と、一華の姿。


「これはこれは、やはり“閻魔帳えんまちょう”に伝え聞く通りか!」

「知ってるんですか!?」

「“実物”を見たのはおれも初のこと。一華も、知らんのだな?」

「知るわけないでしょ! こんな、こんな――――」


 夜の市街地を舞台に、戦い続ける巨人。

 馬上槍の放った突きが、〈僧兵〉の肩をかすめる。

 法衣の隙間から放たれた光が、〈人馬〉の脇腹を焼く。


 鬼には「知らない」と言ったが、一華はこれを

 しかし、それは現実の出来事ではない。


(これって……)


 夜の街と巨人の戦い。

剣戟ちゃんばら光線ビームのやり取り。

 怯えまどう群衆。

 この光景は、見たことがあった。

 そう。あれは、祖父との思い出の――


(…………アニメ?)


 祖父――塩垣桃太は古今東西の「映像作品」を好んでいた。

 一華もビデオを見せてもらったことがある。ちょっと怖いのもあった。

 実写映画や社会派ドラマ。

 時にはSFアニメ――そう、“ロボットアニメ”である。

 ロボットと言っても、今回の場合は等身大にんげんサイズではない。

 主役は、ロボットである。

 物語が始まると、主人公は「機械の巨人ロボット」に出会い、パイロットとなり、戦いに身を投じ、悩み、陰謀の闇に迫っていく。

 そんな“エンターテイメント活劇”。伝統ある日本の大衆芸術。


『主人公』はさまざまだ。

『銃を握ったこともない科学者の息子』

『戦うことしか知らない少年兵』

『過去に苦しむ退役軍人』

『鉄道マニア』


 老若男女は、“愛機”とともに自らの運命に立ち向かう。作品は個性豊かだが、それはおおむね共通するモチーフだ。


 ――――そういえば、気に入って何度も再生した作品やエピソードもいくつかあったな……

 ――――タイトルは、なんだっけ?


 目の前の出来事に呆然とし、回想にふける一華。彼女がこうして呑気にしていられるのは、この戦いをアニメで見ていたからではない。

 隣の鬼の目が光っているのと、足がすくんで動けないのも否めないが、理由はもう一つ。

 一華は無意識に、この戦いはだと判断していた。

 何故か?

  

 夜の市街地の戦い。

〈僧兵〉は錫杖を片手で握り、相手の突きを切り伏せ、もう片方の手で掌底しょうていを繰り出す。体重を乗せ、〈人馬〉に突き刺さる打撃。

 この体術を繰り出すにあたり、道路に深く踏み込んだ足には巨人の自重が乗り、直下の舗装をひどく――――

〈人馬〉は猛烈な打撃に姿勢を崩し、近くのマンションに激突。

 青い火花が弾け、マンションは巨体の質量で倒壊――――。窓の明かりが、まばたきのようにチカチカするだけ。

 戦場となった町はこの戦いで火の海とガレキの山に――――なっていない。光線の落ちた市街には青い火の手が上がりこそすれ、

 この戦いは、だった。


(これ、「立体映像」? プロジェクション、マッピング?)


 巨大ロボットが大暴れすれば、町は見る影もなくなるはずだった。目に映る映像と被害のない町の矛盾に、混乱する一華。隣の鬼は、薄紅色のグラデーションがかかった長髪をもて遊んでいる。


「人里に被害が出ていない。これは良かった」

「そ、それは…………そうですけど。でも……」


 鬼の言葉に戸惑う一華。そんな一華に、鬼は笑って見せる。


「しかしこの騒ぎ。おれも、黙ってはおけんなぁ」


 一華の隣で不敵に笑う鬼。機械の鬼。


「この体は“借り物”だが、これは最早……止むを得まいな? 住処すみかでの狼藉ろうぜきと思うと、我慢ならん…………!」


 彼女は、背負った〈鍋〉を夜道に降ろした。

 どっしりと道路に横たわった鋼鉄の円盤は、街頭の光を反射する。明かりの中で観察すると、それは、何かの装置に見える。

 二人から離れたところに群がる野次馬の市民たちは、目の前の戦いに夢中であり、背後の出来事になど気付いてはいない。

 鬼は、一華に背を向けた。


「一華よ。これから、あれらの狼藉者を折檻しおきする。話に応じればいいが、大人しく聞くとは思えん」

「え……はい」

「これは、お前のじいさんにも関わることだ。よぉく見ておけ」

「……はい」


 反射的に返事をする一華。浅慮だが、やっぱり「鬼」は怖い。

 鬼はというと、小さな端末――スマホのようなものを取り出し、ケーブルで自分の“首筋”と繋ぎ、画面をつついて何かを操作している。起動しているソフトウェア・インターフェースは、見たこともない。


(鬼もスマホ、使えるんだ……)


 しゃがんだ鬼が〈鍋〉の外郭の一部を開くと、そこには操作盤のようなものがあった。そのスイッチを叩きだす、鬼。

 一華は、鬼の“小さな背中”を見守った。

 角を持ち、怪力を発揮し、“機械のような体”をしていると言えど、見た目にはほんのに見える。

 鬼は、〈鍋〉の前で一人何かの作業を続けながら一華に語る。


「そう案ずることはない」


 一華は見守る。

 鬼は、準備を続ける。


「家族を亡くし、珍妙な争いを目にし、さぞ不安であろう、人の子・一華よ」


 一華は見守る。

 鬼は、準備を続ける。


「先ほどの、“お前のじいさんが人殺し”という話も……紛れもない事実だ」


 一華は見守る。

 鬼は、準備を続ける。


「だがな、一華よ。案ずるな」


 一華は見守る。

 鬼は、準備を続ける。


「じいさんを、勝手に“地獄送り”にはさせん……!」


 見守る一華に、鬼の表情は見えない。

 しかし、小さな背中の発する、一つの言葉。


 ―――勝手に“地獄送り”にはさせん。


 相変わらずわけが分からないが、どこか安心する。

 頼もしい響きの、気遣いの言葉。


(このひとは……なんだろう?)


 疑問の答えを探すように、市街地に目を移す。

 “ロボットアニメ”のごとき戦いは新たな局面を迎えていた。


 掌底を食らった〈人馬〉は、既に反撃体勢に移っている。

 火花の中から立ち上がり、よろけながら、四本脚で路面をしっかりと踏みしめる。

 対する〈僧兵〉。両手で錫杖を構える。

 睨み合う両者。流れるつかの間の静寂。

 この戦いは互いの尾を追い回す「犬の喧嘩ドッグファイト」にはたとえられない。

 互いに睨み合い、腹の内を探り合い――――そして、動きは敏捷に、一撃必殺の“ネコ・パンチ”を繰り出す。これは……「猫の喧嘩キャットファイト」である!

 そして睨み合いの静寂は破られる。

 馬のような足で路面を蹴り、突如正面へ走り出す〈人馬〉。

〈人馬〉は無謀なる突撃チャージを敢行し、〈僧兵〉の胸へ手にした槍を打ち込む――――をして――――下半身の“後ろ足“で、“回し蹴り”を繰り出した! 

〈僧兵〉は迎え撃とうとしたが――ついに間に合わなかった。

〈人馬〉の技は、不自然な蹴りであった。生きた普通の馬であれば持ち得ないはずの関節が曲がり、伸び、薙ぎ――――〈僧兵〉の右腕に、深々と突き刺さった!


「ほう! 馬面うまづらもなかなかやるな! これはがたぎる。この体には通ってないが」


 戦いを目にして感心する鬼。

 相変わらず呆気に取られている一華。

 鬼は、彼女のほうを振り向いた。


「一華、離れておれ。5間……じゃなかった。10メートル、ぐらいだ」

「……はい」

「終わったら、あの公園で落ち合うぞ」


 ――――この鬼は、やはりどこか優しい。

 

 鬼の言葉に従う一華は、夜の街でそう思った。


【3】


 日本語を解する、親愛なる読者の皆様へ。

 激戦の最中にちょっとお時間をいただき、質問タイムを挟みたい。


 いや、質問の前にまず、この場を借りて謝辞を述べさせていただきます。

 本作をご覧下さり、まことにありがとうございます。

 今後も執筆活動に邁進し、良き作品を書けるよう鋭意努力していきたいと考えております。感想を頂けると、励みになります。


 謝辞を述べたところで、に移りたい。

 これは哲学的な議論の誘いではないし、信条や宗教にまつわる問いでもない。「心霊テクノロジー」や〈SFガジェット〉は関係ない。「ラグナロク」も〈量子回線〉も登場しない。リラックスしてお付き合いただけると、幸いである。これは単なる閑話かんわなので。

 前置きが長くなったが、さて質問。


 ――――あなたは、猫を見分けられるだろうか? 


 そう、を。


「一家の一員だ。“我が子”を見間違えるはずがない」

「たとえ同じ品種でも、猫ごとに個性がある」

「迷子になっても分かるよう、首輪をつけている」


 愛猫家のお怒りは、痛いほどによく分かる。

 たとえ野良猫であろうとも、何度も見かけるうちに愛着がわき、特徴を覚える。部外者に好きなものを「全部似たようなもんじゃないか」と言われてしまえば、猫好きに限らず憤るだろう。

 しかし、愛猫家の方々もここはひとつし、想像していただきたい。

 “ある条件”をつけ加え、今再び質問。


 ――――あなたは、“一度見ただけの猫”を、見分けられるだろうか?


 胸に手を当て、自分のこととして、考えてみてほしい。

 この猫は家族ではない、赤の他人――いや、赤の他

 この猫は品種の同じ猫、数十匹の中に混じっている。あなたはそこから数枚の写真を頼りに、“葬式で見ただけの猫”を、探さなければならない。

「自分は超・愛猫家だ。それでも見分けられる」と豪語する方向けに、条件を更にもう一つ付け加えたい。

 

 この猫、「首輪」を毎日自分で、つけ替えている。


【4】

 

 彼が葬儀場で一度見た「ネコ」とは、名を「塩垣一華シオガキ・イチカ」という。

 この「ネコ」を見分ける必要のあった、ドレッドロックスの男。今彼は、〈僧兵〉――〈8006式機動仏壇きどうぶつだん〉の操縦席コックピットに腰掛けている。

 操縦桿である数珠を握る手には、力がこもる。


クソッ!」


 劣勢だ。

 右腕ユニットが文字通りお陀仏オダブツになり、悪態をつくドレッドロックスの男――――三叉寺さんさでら涼音すずね。彼こそ、怪文書メールの送り主である。

機動仏壇きどうぶつだん〉内の障子スクリーンに映る敵は、右腕の槍《シャベル》で追い打ちをかけてくる。


優婆塞うばそく戒経かいきょう、復号プロトコル≫


 障子スクリーンに、“心霊兵装”の火器管制メッセージが展開される。


≪“不邪淫戒”装填。砲火準備、照準補正完了≫


 三叉寺が引き金を引くと、彼の操る機動仏壇は〈経文弾〉を連射し、突撃してくる敵から身を守る。


(やつの手の内は知れているが……)


 敵の巨大な〈人馬〉――ワルキューレどもの心霊兵器は、戒めの火線をかいくぐり、市街地の中で機敏に追い打ちを仕掛けてくる。法衣装甲アーマーを、繰り出された切っ先が浅く抉る。

(こちらの傷も深い。後れをとったか!)

 この男・三叉寺は、仕事先の地球に降りてから既に一度、襲われていた。恐らく襲撃者はワルキューレ、鬼女ダキニの使いの戦闘員。

 相棒である心霊戦術兵器、〈機動仏壇〉はこの一度目の襲撃で小破し、供養による応急修理を施しただけであった。この戦いは、二度目の襲撃。


(片付けて、逃げなければ。こんなことをしている場合では、ない!)


 三叉寺は、仕事の最中に「大ポカ」をやらかしていた。

 その「大ポカ」とは――――

 心霊テクノロジーの残滓を感知され、最初の襲撃を許したことか?

 違う。

 四足獣の「ネコ」を警戒したことか?

 違う。 

 この惑星のエネルギー技術をし、スマホの電池を切らしたことか?

 違う。

 公園で待てばよかったのに、返信を受け取れないのを恐れたことか?

 違う。

 金髪乙女の監視に気付かず、コンビニで買ったバッテリーを開封したことか?

 違う。

 金髪乙女に尾行され、なんだかんだで互いに剣を抜いてしまったことか?

 違う。

 事前に知っていたはずの、“不自然な蹴り”をもろに食らったことか?

 違う。

 どれも、違う。

 この男、三叉寺さんさでらの真のとは――――


『公園前で道を聞いた地元の女性が探していた喪主・塩垣一華シオガキ・イチカその人であることに気付かず、放置してそのままコンビニに急いで向かったこと』


 三叉寺にとって、この惑星の原住民は「地球人にとっての猫」みたいなもんである。

 葬儀の折に撮影(盗撮)はしていたのだが……暗がりでコンビニを探していたので、冷静に見分けることは叶わなかった。一華の服装も、喪服ではなかった。

 そして今、喪主と早々に話をしなければならないのに、“馬野郎”に襲われている!

 既に“除霊”されてしまった右腕ユニットは、使い物にならない。

 これ幸いと、目の前の馬野郎――――〈人馬〉は、とどめの一撃を準備している。


(まずい…………)


 数珠を固く、固く握る。

 精神を安定させ、機動仏壇の姿勢を立て直す。

 三叉寺さんさでらが死の恐怖に立ち向かわんとした、その瞬間――――


『お前ら…………双方、そこに!』


 声。

 外からの声。センサーが拾った、大気振動。


『お前らの名は知らんが、馬面。……そして、!』


 声の主を視界からさがす。

 

『ひとつ、話し合う気はないか?』


 障子スクリーンに移るのは、3

 頭に“角”を持ち、甲冑のようなものを逆三角形の体にまとう、巨人。

 背中には、太い武器らしきものを背負い。

 そしてその肩には――――新たな「ネコ」が立つ。

 

とて、これ以上の騒ぎは本意でない。……得物を捨てよ』


 ――こいつはまたも、「ワルキューレ」の仲間か?

 ――それとも、自分とは別の、新たな異邦人か?

 ――まさか……この惑星のか?

 ――武装解除しろと言っている。

 

 ――あり得ない!


 三叉寺は操縦し、応戦の構えをとる。

 何者かはわからないが、“武器”を持って現れた乱入者に素直に従う道理などない。下手に武装解除すれば、だまし討ちを食らうかもしれない。

 〈機動仏壇〉が持つ錫杖を片手で持ち、構える。

 ちらとみやると、〈人馬〉もこの乱入者の方に向き直り、同様に応戦の構えをとっている。


『大人しく聞くつもりなど、ないか。ま、仕方ない。こっちも“金棒”を持っておるからな……』


 乱入してきた「ネコ」は日本語で言う。

 だが、三叉寺さんさでらは応戦の構えは解かない。

〈人馬〉も同様。


『仕方あるまいな………』


 角のある巨人と、「ネコ」は――――肩をいからせる。

 この惑星では珍しい色の、「ネコ」の頭髪。

 のように、夜風になびく。


『ではお前ら……折檻しおきの時間だ!』


 「ネコ」が、殴り掛かってきた。

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