それから何時間、何十時間が過ぎたのか、時間の感覚はない。いや……もうそんなものも必要なかった。
全員……もうずっと黙り込んだままだ。
シホは隅で膝を抱えて虚ろに地面を見つめ続けている。
――ふいに、爪先の辺りに転がっていた小石が震えた気がした。
地震――? いや――これは……
――ずぅ……ん……
籠ったように、しかし確実に遠くで爆発音が響き、ぱらぱらと天井から砂粒が落ちる。
「…………」
ミーティアが無言で立ち上がり、法器をベルトから抜く。
「ミーティア……?」
「行ってくる。……お前は――ここに居ろ」
「駄目だよ……どうしてこうなる前に逃げなかったの……」
縋るような目でシホはミーティアを見つめるが――
「シホ……お前はあたしにとって大切な存在、大事な友達だ。そしてあたしの願いは大切なものを守る事。……それを邪魔する権利は――誰にもない」
そう言ってミーティアはシホの顔を強く見つめ返した。
「……チャンスがあったら、お前だけでも逃げろ。わかったな」
ミーティアは洞窟の入り口へと向かって歩き出す。
メテオラはその背をしばし見つめていたが――
「……シホ。これを置いていくワ。どうするのかは、あなたに任せル。ステラとの約束は――これで果たしたワ……」
そう言ってシホの前に白金色に輝く法器を置き、ミーティアを追う。
暗い洞窟に響く二人の足音が遠ざかっていった。
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