空中で巻き起こった爆炎が熱と光を失い、周囲は次第に本来の朝焼けを取り戻す。
「おい――なんだよ。ありゃ……」
「これが……あの動きの秘密――」
ミーティアとシホが見上げる先には――
下半身を失った――はずの星女王が浮遊していた。
無残に破れたドレスのスカートが風にはためき、隙間から覗くのは扇情的な曲線を描く太腿ではなく――その代わりに生えた、一対の逆さまの円錐だった。
光沢を放つ紫色のそれの先端は滑らかに仕上げられており――魔法陣を生成している。
「法器と……一体化してやがる……!」
「見ましたね……この……屈辱にまみれた醜い姿を――」
ハレイの表情が――変わった。
「八十年前のあの日、貴様の母親……ステラにスター・バスターで吹き飛ばされた古傷を――」
ハレイがシホを睨みつける。
「同じ方法で晒してくれるとはな――小娘」
憎悪に満ちたアメジストの瞳に包まれ、シホは心臓を掴まれたかのような感覚に陥る。
「ステラは――この星と一体化したそうだな。私をこのような姿にしておきながら、未だこの宇宙に存在するとは……忌々しい」
直後、メテオラを護るクーヴァが熱線で吹き飛ばされる。
「――気が変わった。私の法器――コズミック・イレイザー。その名の通り、全てを消し去るこの力で――」
ハレイは天を仰ぐと――
「蒼星もろとも、塵と化してくれる……!! この人形ども……!」
そう言い放ち――一対の法器が唸った。
そして――ハレイは羅刹女の如く、天へと向かい疾走していく。
「な……なんだかわからねえが、ヤバそうだぜ! 追うぞ、シホ!」
ミーティアが叫び、シホが頷く。
魔女の法器が、白金と紅玉の線を刻みながら――宇宙へと向かう――
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