「みてみてーっ! カナエおばあちゃん、ながれぼし! ながれぼしだよ!」
オリオンの輝く寒空を見上げたまま、少女ははしゃいだ声を上げた。
青白い尾を描きながら夜空を疾走する一筋の光芒。
しばしその幻想的な光景に少女の心は釘づけになっていた、が。
様子がおかしい。
普通であれば願い事を唱えるなど不可能なほど刹那く儚く消えるはずの輝きは、ぐんぐんとその強さを増していく。
少女は思わず窓から半身を乗り出し、光を注視する。
その間にも光はどんどんと大きくなり――ついには少女の居る家の真上を疾り抜けていく。
首が痛くなるほどに真上を見上げ、その行方を追う。
やがて流星はひときわ強く輝き、天を青白く照らすと、鈍い衝撃音で僅かに空気を震わせて、消えた。
あっちは……良く遊びに行く森林公園。街の外れにある山の方だ。
「おばあちゃん! お山の方にながれぼしがふってきたよ! あたし見にいってくるね!」
それに対する返答の声が届く間もなく、少女は流星の行方を追って家を飛び出していた。
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