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東方不敗(ひがしかた・まさる)
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ナンバープレイスセット【マシュマロと煎茶】

公開日時: 2020年12月6日(日) 15:31
文字数:2,428

「うー」

「あーやってこーなってそーなって……」

 アリスと瑞穂が本を片手にうなっていた。

「なにやってんだ?」


「ナンバープレイスよ」


「あー、数字のパズルか」

 9×9マスに区切られたパズルで。

 縦の列、



 横の列、


145327698


 そして3×3のブロックに、


145

839

672


 1から9までの数字を重複させずに並べ、9×9マスを埋めるパズルだ。


 問題には数字が配置されていて、


・・5 3・・ ・・・

8・・ ・・・ ・2・

・7・ ・1・ 5・・


4・・ ・・5 3・・

・1・ ・7・ ・・6

・・3 2・・ ・8・


・6・ 5・・ ・・9

・・4 ・・・ ・3・

・・・ ・・9 7・・


それをヒントにして問題を解く。


145 327 698

839 654 127

672 918 543


496 185 372

218 473 956

753 296 481


367 542 819

984 761 235

521 839 764


「将棋と同じ9×9マスだな」

「そーいえばそーデスね」

「対戦してみる?」

「対戦って……。ルールは?」


 ポンッ


「お願い」

 肩を叩かれて丸投げされた。

「……お互いに数字を置いていって、置いた数字の分だけ点数を獲得できるってのは?」


「でも将棋盤で対戦するとなると、1から9まで書かれた駒が81枚必要になるわよ?」


「……お前が対戦しようって言いだしたんだろうが」

 やむなく数字の書かれた81枚の駒を作る。

「今日はマシュマロを賭けよう」

 主に果汁で味付けされたマシュマロを山盛りにする。

「勝った奴だけ食べられることにしよう」

「望むところよ!」


 ブロックの表と裏に色違いで数字を書き、ヒントの数字を置く。

 ヒントの数字も色で分ける。

 ヒントの得点を二人でわけて同じ得点にするのがベストだが、別に無理して同じ得点にする必要もない。

 ちゃんと点数計算さえできればいいのだから。


 そして二人で将棋盤の前に座り、交互に数字を置いていく。



対戦例


「最初は7・8・9みたいに高得点の数字狙いだな」


「そうね」

 お互いにじっくり考えて高得点の数字を置いていく。

 そこで気づいた。

「……これ、持ち時間を設定しないと最善手打てるな」

「あ、本当だ」

「チェスクロックをどーぞ」

 アリスからチェスクロックを受けとり、持ち時間を設定して指し継ぐ。

「えーと……ここよ!」

 やはり時間制限があるだけで相当焦ってしまう。

 そして案の定、


「……数字が合わんぞ」


「どこか間違ってるわね」

「ここデスね。ココとココも違いマス」

「よくわかるな」

「ふふん。ナンバープレイスはアリスの得意分野なのデス!」

 アリスは本能で動いてるように見えて脳みそはデジタルだ。

 計算能力はずば抜けている。

 将棋も終盤に限定すれば俺より強い。

 得意分野というのもうなずける。


「間違えたら、置いた数字を総得点から減点しよう」


「審判が必要ね」

「アリスにオマカセ!」

「お、おう」

 なぜかノリノリのアリスに審判を任せ、減点制で対局する。


「ぶぶー」


「ぴんぽんぴんぽん!」


 ……妙なSEで判定されるのは正直気が散るものの、対戦型ナンバープレイスそのものはちゃんと成立していた。

 ナンバープレイス自体はシンプルなルールだから、対戦型にしてもこれ以上いじれるルールはない。

 一人用のパズルを対戦型にしただけだが、これは意外にいいゲームかもしれん。

「俺の勝ちだな」

「うう、私のいちごましまろ……」

 勝利のマシュマロをいただく。


 マシュマロには煎茶か玉露だろう。


 今日は煎茶だ。

 マシュマロの果汁が煎茶の味わいを引き立てる。

 日本ではあまりやらないが、マシュマロは串に刺して直火であぶっても美味い。

 外はサクサク、中はトロトロだ。

「いいなー」

「……恨みがましい目で見るな」

 仕方ない。

 勝負事なので直接マシュマロをやることはできないが、特別にコーヒーを淹れてやる。

「これだけだぞ」

「え」

「マシュマロコーヒーだ」

 コーヒーにマシュマロをのせる。

「やった! んー、トロトロ」

 マシュマロコーヒーも、直火で焼いた時のようにコーヒーの熱でマシュマロがトロトロになるのだ。

 マシュマロのボリュームがあるので、おやつはなくともこれだけで満足できる。


「ではアリスのターンですネ。リアルタイム・ナンバープレイスをしまショー!」


「リアルタイム?」

「ナンバーがわかったら、好きなタイミングでブロックを置いていきマス。手番(ターン)はありまセン」

「そういやちょっと前にリアルタイムチェスが話題になってたな。あれは専用の筐体がないと指せないが、これはブロックを置きっぱなしだからな。先に置いたもん勝ちだからまだやりやすい」

「デハやってみまショー」

 俺とアリスが一局。


「ナイン・エイト・セブン……」


「な!?」

 目にも止まらぬ早業でアリスが高得点ブロックを置いていく。

 気づけば9・8・7を全部押さえられていた。

「アリスの勝ちデスね」

「……答え合ってるか?」

「合ってるわね」

 もはや計算が得意とかいうレベルじゃない。

「ミルクティーをプリーズ!」

「あいよ」


 アッサムのミルクティーを淹れると、アリスがマシュマロを浮かべた。


 マシュマロミルクティーだ。

 マシュマロコーヒーと同じでトロトロになるので、これも美味い。

「……ん? そういや、さっきナンバープレイスの問題集でうなってたよな? これだけ計算早いのに迷う問題があるのか?」

「ナンバープレイスは奥が深いのデス」

 アリスが解いていたナンバープレイスの本を見せられる。

「は?」

「なんだこりゃ?」

 そこに書かれていたのは確かに9×9だったが、明らかに問題がおかしかった。


37 78 29 70 21 62 13 54 05

06 38 79 30 71 22 63 14 46

47 07 39 80 31 72 23 55 15

16 48 08 40 81 32 64 24 56

57 17 49 09 41 73 33 65 25

26 58 18 50 01 42 74 34 66

67 27 59 10 51 02 43 75 35

36 68 19 60 11 52 03 44 76

77 28 69 20 61 12 53 04 45


「タテ・ヨコ・ナナメが369になる古いクエスチョンですヨ?」


「どう見てもナンバープレイスじゃないから、これ!」


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