立ちはだかる美夏のレーザー・ブレードと俺の刀がぶつかり合う。
美夏……! その顔は俺への敵意で染まっているものの、俺の幼馴染みの顔たちに間違いはなく、思わず躊躇いを覚える。
割り切った、はずだ。
今の美夏は地球人ではない。異星の軍勢に所属する地球への侵略者の一人だ。
それを斬る事はもう割り切った、はずなのだ。
それが、先日、ピュアを斬った事でまたぶり返してきている。
俺は美夏を殺せるのか……。
そう思った時、グレンの「光輝!」との声が飛ぶ。
ハッとすると美夏がレーザー・ブレードで再度斬りかかって来ていた。ピュアの剣で受け止める。
危ない。グレンの呼びかけがなければ切り裂かれていたかもしれない。
こんな事ではダメだ。美夏は敵。敵なのだ。敵は討つ。
その単純な理論を呼び起こし、俺は二刀流を振るい、美夏を押し返す。
「くっ……」
美夏の体が後ろに下がる。そこに二刀流で追撃をかける。
この至近距離では自慢の大型ミサイルランチャーも使えまい。
二刀流で右の刀と左のピュアの剣で攻勢をかける。
美夏はレーザー・ブレード一本でそれを凌いでいたが、やがて後退する。
さらに追撃を仕掛けようとした所にエイミーがガトリング・ガンを撃って来て、一旦、後ろに下がる。
そこにラリサの四連装エネルギー・キャノンのレーザー光が走る。
エイミーの四連装ガトリング・ガンに命中し、それを破壊する。
左腕を斬り落とされ、ガトリング・ガンも破壊され、これでエイミーはほとんど脅威ではなくなった。
「あう……地球人め!」
苦し紛れに言いながら背部マイクロ・ミサイルポッドから小型ミサイルを発射してくる。
それを俺は二刀流で切り払い、落とせなかったものは神気で受け止める。
グレンもシビーユ相手に戦いを優位に進めていた。
シビーユはどこから取り出したのか実体剣でグレンの剣を受けていたが、その形成が不利なのは明白。
徐々に追い詰められている。
俺もエイミーにトドメを刺すべく二刀流で斬りかかる。
エイミーは右腕の機械腕の爪で対抗するが、それでどうにかなるものではない。
右腕を弾き飛ばし、その体にクロス字に二刀流で斬り付ける。
「ぐあっ!」
エイミーの悲鳴。
そのまま、刀をエイミーの胸に突き刺し、刀の切っ先がエイミーの背中から突き出る。
これにてエイミーは息絶えた。これでまた俺は戦友を殺した事になる。
それに感傷を覚える暇はなかった。
「よくも!」と美夏が両手にエネルギー・ガンを持ち、こちらに射撃して来たのだ。
これを刀と剣で防ぎつつ、美夏に接近しようとする。
こう距離が近付けばミロスラーヴァもシビーユの自慢の大型エネルギー・キャノンを放つ事が出来ない。
そこに基地の迎撃設備が唸り。
俺に機銃を発射したが、その設備はペルニルがレール・キャノンを撃ち、すぐさま破壊する。
一気に俺は美夏に近寄り二刀流で切り裂こうとする。それを阻んだのは予想外の人物だった。
「ティエクラ!?」
俺は驚愕に目を見開く。
両腕の二本のレーザー・ブレードで俺の刀と剣を受け止めたのはかつて俺と共に戦い、俺が殺したマシンナリーレディ・ティエクラに違いはなかったからだ。
俺が困惑しているとレーザー・ブレードに切り裂かれそうになったので慌てて後ろに下がる。
そこにテレーシアがミサイルを放ち援護する。
レーザー・ブレードを振るい、ミサイルを切り払いながらティエクラは後退していく。
どういう事だ……。確かにティエクラは死んだはず。
「再生産よ! 地球人類! 我々の科学力ならこれくらいの事は出来る!」
勝ち誇ったように美夏が言い放つ。
再生産……そんな事を可能なのか。
で、あれば目の前の人物はティエクラであってティエクラではないと言う事か。
「ちっ、アゴルモンアめ。これだから厄介なんだ」
シビーユと刃を交えながら、グレンが舌打ちする。
ペルニルが右手に持ったガトリング・ガンを放ちティエクラと美夏をまとめて攻撃する。
ティエクラがこちらに突っ込んで来たので俺は二本の剣でティエクラのレーザー・ブレード二刀流を受け止める。
「チキュウ、ジン、コロス……!」
再生産、とやらをされたらしいティエクラの瞳には感情らしい感情が灯っていなかった。
これが再生産。こんなもの外見が同じだけのロボットだ。
俺はそう思い、二刀流に力を込める。
ティエクラの二刀流を蹴散らし、その体を斬り裂く。
「くっ、再生産したマシンナリーレディはやはり精度が落ちますわね……!」
ミロスラーヴァが苛立ち気に言い放ち、両腕のミサイルランチャーをこちらに撃って来る。
迫り来るミサイルを迎撃していると美夏が後ろに下がって行くのが見えた。
「美夏! 貴方はブレイン死守の切り札ですわ! ここは私たちに任せて!」
「任せるわ! ミロス! シビーユ!」
そう言い、美夏は姿を消す。
ブレイン死守の切り札ってどういう事だ。
そう思いながらもラリサの四連装エネルギー・キャノンがミロスラーヴァの体を貫いたのを見る。
今が好機。俺は接近し二刀流でミロスラーヴァを斬り付ける。
「ち、地球人……!」
ミロスラーヴァはそう言い、おびえの表情を見せる。
思わず手が止まりそうになるが、敵だ。
かつての仲間でも今は敵なんだ。
そう割り切り、俺は二本の剣を振るい、トドメを刺す。
残りはシビーユ一人。そのシビーユもグレン相手に接近戦で押されている。
「このわたくしが地球人など風情に!」
シビーユが激昂し、剣を振るうがグレンはそれを見切り、剣で斬り付ける。
俺も応援に駆け付け、二人がかりで斬り付ける。
そうなればもう最強のマシンナリーレディといえどもどうしようもない。
自慢のバリアも神気を纏った武器の前では無意味だ。
シビーユの体は俺とグレンの剣で切り裂かれ、地面に倒れる。
「ここを守っていたマシンナリーレディは全て撃破したか……」
「いや、一人、奥に逃げた奴がいる」
「そうだったな……」
グレンの指摘に気を取り直す。美夏が奥に逃げ込んだはずだ。
それを嬉しいと思ってしまうのは俺のエゴであろう。
どの道、倒さなければならない相手だ。そう思い奥に進む。
そこには大量の陸戦型殺戮機械が俺たちを迎撃に出て来ていた。
「殺戮機械……」
「ここが工場みたいだな。アゴルモンアの連中は無から有を生み出す工場で殺戮機械を作り出し、侵略する星に送り込む。ここさえ潰せばそうそうアゴルモンアの機械がやって来る事はないって事だ」
「それじゃあ、頑張らないとね」
グレンの解説にラリサがやる気を見せる。
ここさえ潰せばもう地上で殺戮機械におびえて暮らす日々も終わる。
そうとなればやる気が出るというものだった。
迎撃の陸戦型殺戮機械は砲火を放って来たが、こちらのマシンナリーレディ三人も砲火を放ち、俺とグレンは突進し、剣で殺戮機械を切り裂いていく。
「もう殺戮機械とはおさらばよ!」
「これで、終わりです!」
ペルニルがレール・キャノンと手持ち式のガトリング・ガンとを同時に斉射し、テレーシアもエネルギー・キャノンとガトリング・ガンを斉射する。
ここさえ潰せば地球に飛来する殺戮機械たちも消え失せる。
その事を思えばこちらの士気は高かった。
何分、どれだけそれに苦しめられたのか分かったものではないのだから。
「はああっ!」
俺も刀とピュアの剣で殺戮機械を切り裂いていく。
この設備は完全に破壊する。そうすれば地球も今よりは安全な場所になる。
その思いを剣先に宿し、振るっていく。
マシンナリーレディ三人の砲撃も激しさを増し、徹底的にここの設備を破壊するという意思が伝わって来る。
そうして、この一角は完全に破壊された。
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