大型の殺戮機械が動員されたとなると敵はマシンナリーレディの損傷で戦力を一時的に失っていると見るのが自然か。
マシンナリーレディの修復のため、前線には出せないでいるのだろう。
修復が不完全で隻腕のまま前線に出したティエクラが俺に討ち取られたのを忘れてはいないようだ。
やはり異星にはブレインと言える存在がいるようだ。
ならばそいつを潰せば地球侵攻の手も止まるかもしれない。
そんな事を思いつつも、今、目の前の敵を叩く事に全身全霊を注ぐ。
「ピュアは大型の殺戮機械との戦いは初めてだったな?」
俺が確認を取る。
ピュアが戦うようになってからというものの、敵はマシンナリーレディか、殺戮機械でもせいぜい飛行型の雑魚ばかりで本格的な戦闘力を持つ大型の殺戮機械と戦った経験はないはずだ。
「は、はい! ですが、マシンナリーレディの皆さんと比べればまだ楽な相手ですよね?」
「一応な」
「でも、油断は禁物。僕たちマシンナリーレディに迫る戦闘力を持つ殺戮機械をいる」
ピュアの言葉に俺は頷いたが、ラリサが釘を刺す。
そうだ。
大型の殺戮機械も充分な脅威なのだ。
舐めてかかる訳にはいかない。報告によると三機の大型陸戦型殺戮機械が行軍しているという話だが。
そう思っていると敵の先鋒、雑魚の飛行型殺戮機械の集団と会敵した。
俺とピュアは剣を取り出し、テレーシアとラリサは武装を展開する。
「こいつらに手間取っているようじゃダメだな」
自戒も含めた言葉を発し、ピュアを半分脅し半分激励すると俺は真っ直ぐに殺戮機械に向って行く。
刀でその装甲を切り裂き、一撃で仕留める。
「流石ね、光輝さん」
言いつつテレーシアも右肩のエネルギー・キャノンと左肩のガトリング・ガンを唸らせ、殺戮機械たちを次々に撃ち落としていく。
この雑魚の殺戮機械に苦戦するマシンナリーレディはいないであろう。
ラリサもエネルギー・キャノンとマイクロ・ミサイルポッドを放ち、次々に殺戮機械を撃ち落す。
「手間取ってはいられない!」
ピュアが俺の言った言葉を復唱し、剣を手に殺戮機械に挑みかかる。
剣は殺戮機械の装甲を貫き、突きの一つで殺戮機械を落とす。
そんなピュアの周りに殺戮機械が集まり、周囲から機銃を放つが、それらを神気の防壁で受け止め、ピュアは空を駆け、包囲された状態から包囲していた殺戮機械たちを次々に切り裂いて落としていく。
とりあえずは及第点か。
そう言う俺も油断してはいられない。
放たれた機銃を捌きつつ、殺戮機械に接近し、刀で切り裂き、落とす。
隊列を成し、機銃を一斉掃射して来る殺戮機械は少し厄介であったが、このレベルの殺戮機械に手間取ってはいられない。
自分で言った事だ。
俺は神気を後方に放ち、一気に接近すると隊列を成していた殺戮機械を端から切り裂いていく。
そこにラリサのエネルギー・キャノンから四筋のレーザー光が放たれ、隊列を成していた殺戮機械を撃ち落す。
「行くわよ!」
テレーシアのミサイルランチャーからもミサイルが放たれ、殺戮機械の隊列は完全に崩壊し、全機撃墜される。
残りの殺戮機械も俺とピュアが接近し、剣で切り裂き、落としていく。
これで大体の飛行型は落としたか。
そう思った時、地上を行軍する三機の大型殺戮機械が見えた。
「あれが大型だ」
「硬そうですね……」
「高出力のエネルギー・キャノンも装備している。気を付けろ」
俺がピュアに注意をするとピュアは頷く。
陸戦型大型殺戮機械はキャタピラによる無限軌道で荒れた大地をものともせず進んで来る。
先手を取って、テレーシアとラリサが砲撃を浴びせるが、それらを受けても強固な装甲はなかなか破れない。
対空機銃をこちらに向って返礼として放って来る始末で俺たちはそれを回避する。
「掻い潜って行くぞ、ピュア!」
「は、はい!」
俺はピュアに合図すると二人して先頭の一機に狙いを定め、接近する。
その間、テレーシアがガトリング・ガンの雨を降らせ、ラリサは膝部マイクロ・ミサイルポッドから小型ミサイルを放ち敵を牽制する。
対空機銃を掻い潜り、まず俺が先頭の一機に肉薄。
刀で斬り付ける。
強固な装甲を刃は破り、斬撃の傷跡が付く。
すぐに引き下がり、代わりにピュアが突進し、剣で斬り付ける。クロス字に剣の傷が装甲に刻まれる。
そこでロボットアームが動き、ピュアを握り締める形で捕縛する。
「きゃあ!」
そのまま電流を流される。
神霊憑依者でもなければお陀仏になっていた威力の電撃だ。
「ち!」
俺は突っ込み、ピュアを捕縛しているロボットアームを切り裂く。
自由になったピュアは空に浮かび上がる。
「あ、ありがとうございます! 光輝さん!」
「礼は後だ! こいつを潰すぞ!」
クロス字の傷をテレーシアとラリサは見逃しはしない。
二人共ミサイルを放ち、傷に向けて命中させていく。
これに一機目は致命傷を受けたらしく動かなくなる。後、二機。
二機目は既に胸部を展開し、大型エネルギー・キャノンの発射準備に入っていた。
今からでは止めるのは無理か。
俺はそう判断するとピュアに注意を促す。
テレーシアとラリサは当然、分かっているだろう。
「高出力のエネルギー・キャノンが来る! 避けるぞ!」
「はい!」
そして、集束したエネルギーが放たれる。
極太レーザーが空に向って伸び、それを俺たちは散開して回避する。
「やってくれましたね!」
「お礼よ」
テレーシアがエネルギー・キャノンとガトリング・ガンを斉射し、ラリサがエネルギー・キャノンを放つ。
それらは二機目の大型殺戮機械に降り注ぐが硬い装甲が弾き、致命傷にはならない。
対空機銃の砲火飛び交う中、俺とピュアは二機目に接近し、剣で斬り付ける。
神気も込めた斬撃は硬質な装甲を切り裂き、傷を刻む。
ロボットアームが俺を掴もうとしたが、逆に刀を振るい、ロボットアームを切り裂き、破壊する。
そのまま二機目に肉薄。
至近距離で刀を突き立てる。
ピュアも続き、二人がかりで剣を突き立てて二機目の大型陸戦殺戮機械に大ダメージを与える。
「後はこっちに任せて!」
テレーシアが降下して来て、左肩のガトリング・ガンを二機目に放つ。
銃弾が次々に俺とピュアが付けた傷に吸い込まれていき、内部で破裂する。
トドメとばかりにエネルギー・キャノンとミサイルランチャーの斉射を行う。
これにはひとたまりもない。大型陸戦殺戮機械は機能停止し、その場で静止する。
これで後は一機。
最後の一機はカスタム機だろうか? これまで見た大型陸戦殺戮機械とは少し外観が異なる。
二門のレール・キャノンが装備されており、それをこちらに向けて放って来る。
無論、それに当たってやるこっちではない。
レール・キャノンの射撃を避けていると胸部が開放され、高出力のエネルギー・キャノンを放つため、エネルギーが集束される。
今なら突っ込んで剣を突き立てれば止めれそうだ、と思った。
しかし、博打だ。危険過ぎると、俺はピュアとテレーシアと共に後退する。
そこから放たれたエネルギー・キャノンはこれまでのものとは異なっていた。
細い光線が何本も放たれる。それらは曲がり、空にいる俺たち四人目掛けて追跡して来る。
「新兵器ってヤツですか!」
「生意気ね」
テレーシアとラリサがそう言いながらもホーミングしてくるレーザー光を避ける。
ピュアも回避し、俺も回避に専念する。
そこを殺戮機械はレール・キャノンと対空機銃で砲撃して来る。
カスタム機だけあって他二機程、簡単に倒せる相手ではなさそうだ。
「しつこい!」
俺に纏わり付くレーザー光を刀で切り払う。
それでとりあえず俺に放たれたホーミング・エネルギー・キャノンとでも言うべき新兵器の攻撃は終わった。
が、ピュア、テレーシア、ラリサはまだレーザー光に追い回されている。
とりあえず本体を仕留めれば。
そう思い、俺は眼下の大型陸戦型殺戮機械を見据えるのだった。
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