地震は非常に大きくマグニチュード6弱の揺れだったらしい。しかしながら海側のプレートの揺れではなかったらしく、津波もなく余震もあれ一回だけで、その後は何もなかった。
また水道管の破裂による断水や停電もなく、その夜は静かに眠ることができた。
それは奇蹟的というべきかもしれない。
翌日、テレビをつけると昨日の地震が報道されていて壁が壊れた場所をレポーターが報道している。
僕はその様子を見ながらパンを齧った。
するとLINEの着信。
手に取ると、イズルからだった。
なんだ?
僕はメッセを読んだ。
#こだま
今なぁ―
うちら
テレビの取材受けてるで
何?
僕は思わずテレビのチャンネルを回した。
あ・・!!
画面にイズルのド派手なサングラスが映っている。乗り出すように見ると、横にマウロも映っている。何やら必死に叫んでいる。
何じゃ??
ボリュームをあげる。
すると聞こえて来た。
「ここ、ここなんです!!僕等が見つけたのは」
マウロの声。
「うちらここで見つけてんな??」
イズルの声。
で、何を?
これは僕の心の声。
聞こえぬ心の声に
ふたりが言う。
「せーのぉ、カッパ!!」
阿保か!!
僕はあまりの馬鹿馬鹿しさに思いっきり声を出して突っ込んだ。
番組表を見れば「あなたが見た夏のこわいもの」とある。子供だましの番組もいいとこだ。
昨日、こっちは地震で大変だったんだぞ・・、そこまで心の中で言うと、
こいつら今どこにいるんだろうと思った。
LINEが再び鳴る。
僕は手に取った。
#こだま
さてうちらどこにいるでしょう?
僕の心を見透かすようなクエスチョン。僕はじっとテレビを見た。二人もこちらを見ているようにじっと見つめている。それが段々段大きく大きく・・
え?
え?え?
えええええ?
何?
何?
段々と二人の目が大きくなってきて、突然僕の全身を飲み込んだ。
僕は混乱した。
これは現実か?
夢か
幻か?
はたまた・・
意識が遠のこうとするのを感じながら、男の声が耳に届いた。
「こだま君、これが魔術というものですよ」
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