「前も言った気がするけど、私たちザ・トルーパーズは東北方面担当でしょ?」
「ああ、そうだな」
殿水の問いに小金谷が頷く。
「良いの? 東北方面はほったらかし気味な気がするけど」
「何か動きがあれば駆け付ける。しばらくは桜島とビバ!オレンジ号と行動を共にする。これは俺自身の判断だ。どうやらこの二隻は色々なものを引き付けるようだからな」
「色々なものね、それは確かに……」
小金谷の言葉に殿水が頷く。
♢
「明日香姉、桜島とビバ!オレンジ号のどちらに乗るの?」
「決めかねている……」
未来からの問いに明日香が腕を組みながら答える。
「桜島は高島津製作所の艦……古くからの付き合いがあるでござる。一方、ビバ!オレンジ号はアレクサンドラ氏という異星人の方が責任者……新鮮と言えば新鮮でござるな」
次代が淡々と呟く。
「迷うね~高島津さんには昔から世話になっているし、アレクサンドラさんと仲良くなれば、異星人の友達紹介してくれるかもしれないし……友達の輪が宇宙に広がるよね~」
「何を判断材料にしてんのよ……」
未来が呆れる。次代がふっと笑う。
「大毛利三姉妹の長女、フリートゥモロークラブのリーダーである姉上の判断に従います」
「う~ん……じゃあこっちかな!」
明日香が片方の艦を指差す。
♢
「それでは今後もしばらくは両艦は共同行動をとるということでよろしいでしょうか?」
桜島の作戦室でセバスティアンが伊織に尋ねる。伊織が頷く。
「ええ、提携パートナーとして力を合わせて行きましょう」
「じゃあ、続けて戦力の割り振りね! 時の運ってことでダイスで決める?」
「い、いや……バランスを考え、そこはしっかりと話し合いで決めましょう」
アレクサンドラの突拍子もない提案に伊織が戸惑う。
「賽の目に託すのっても悪くないと思うのだけど……ねえ、救世主殿?」
「そこで俺に振るな……」
作戦室の壁にもたれかかっていた美馬が困惑する。側にいた幸村が尋ねる。
「ツーリングには行かんのでごわすか?」
「シャイカの動きが気になるしな……しばらくはお預けだな」
「それでは、今後も轡を並べて戦えるでごわすな、よろしく頼みあげもす」
幸村が丁寧に頭を下げる。
♢
「日下部、今後もビバ!オレンジ号に乗るの?」
「アレクサンドラの姐さんに命を預けると決めたからのう……問題あるのか?」
「いいや、それならいい。まあ、この艦に乗っていた方が何かと都合が良いかもね……」
「それよりもカナメ……この恰好はいつ解除されるんじゃ! もう半日以上経ったぞ!」
魔法少女チックなフリフリのドレスを着たままの日下部が叫ぶ。
♢
「今後も奇異兵隊は二辺工業への出向を続行せよ……とのことです」
太郎が玲央奈、ウルリケ、ベアトリクスの三人に報告する。
「この艦隊はなかなかエキサイティングだからウエルカムだよ~」
「そうだよな、ベアトリ! アイドルライブもあるし、うどんも旨えし!」
「バカか、楽観的過ぎる……厄介払いされたと考えが及ばんのか……」
「あんだとお?」
「け、喧嘩しないで下さい。ウルリケさん、玲央奈さん……先が思いやられる……」
二人の間に入りながら、太郎がため息をつく。
♢
「聞いたよ~山田ちゃん、俺たち今後もしばらく、この艦隊に同行するんだって?」
「ええ、大学から連絡がありました……実戦データを得る貴重な機会だからと……単位は与えるから心配するなとも……その実戦何よりもが心配なんですけどね、私は」
「もっと強い連中と戦えるかもしれないのか~それは楽しみさ~」
「考え方が根っからの戦闘民族……」
少年のように目をキラキラとさせる修羅をいつきは冷めた目で見つめる。
♢
「じゃあ今後は電光石火が1回出撃したら、光風霽月が3回出撃って割合で良いわよね?」
「いやいや、勝手に決めんなや!」
ユエの一方的な提案に隼子が反発する。
「こちらとしても実戦経験は出来る限り積んでおきたい……」
「う~ん、気持ちは分かるけどね……」
タイヤンの言葉に閃は苦笑する。ユエがさらに提案する。
「ロボチャン全国大会に私たちが参加しても良いわよ? 開催されるか分からないけど」
「いやいや! おい、大洋もなんか言えや! ……ってなんで脱ぐねん!」
大洋が褌一丁になる。真っ赤な褌ではなく、真っ青なフンドシである。
「やっぱり大きな洋だからな……全国大会は青い褌で行こうと思う!」
「褌のカラーどうでもええねん! ア、アンタとはもう戦闘ってられんわ!」
~第二部完~
※(2022年6月5日現在)
これで第二部終了になります。ありがとうございます。
早い内に第三部を始めたいと思っています。良かったらまたよろしくお願いします。
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