夢物語研究室

優妃
優妃

第一章【序章】

公開日時: 2020年12月11日(金) 12:17
文字数:1,037


彼の世界は、東はアークトラス、西はベルクロードと名付けられ、沢山の異能者が暮らしておりました。


東と西だけではなく、中央の國もありまして、それはそれは賑わっておりましたが、中央には異能を持つものは誰も居りません。


代わりと言ってはなんですが、その分裕福で、魔術を学び、取り扱うことが出来たそうな。


さてさて、これは双子の話。

これらは序章にすぎません。


彼等は名をストラト、ステラと名付けられ、中央の國に生まれました。


兄のストラトは勇壮活発、雄気堂々。それはそれは逞しいお方で在られました。

小さな頃の習い事は、銃に体術、弓や槍など、同年代の子供たちを大きく引き離す無双でありました。

一方、弟のステラは、頭脳明晰、夢幻泡影。いかにも清楚であると言ったような穏やかなお方でした。

習い事はピアノにヴァイオリン、それから華道など、所作を初めとした、美しいものばかりで、そこらの女子等よりも際立って流麗だったと言います。


この2人は中央の國の生まれでありながら、齢14の程になると異能の才能が開花し始めます。


それも【Move Might】お互いの力を移し、高め、強大な力を育てることが出来るというもの。


ストラトが力を倍増し、邑のある力をステラが整えて返す。それを繰り返すと、魔王も慄く程の力となるそうな。


けれど、


中央の國において、その力は容認されることは出来なかった。


元々双子の母は中央ではなく東生まれ。

とある昔の戦争で流れてきた者であったから、力を永遠に、永久に、隠しながら生きていくと。そう誓ったのでありました。


ですが子を成せば話は別。


遺伝してしまえば異能を持つし、この国に居られなくなってしまう。


それでも愛してしまった、


愛されてしまった、


愛し合ってしまった、


その事実が形として残るのなら、それに手をかけるのは母として、異形であるというもの。


中央で貴族として永く生きるには無謀と云うもの。


運の悪いことに、双子も異能の開花を知ったのは家の外。


不思議な力が使える事を隠せる訳もなく、意気揚々と友人達に話してしまう、友人達も楽しそうに、或いは不気味そうに、沢山の尾ひれを拵えながら、小さな街に広まっていきました。


「ったく、俺たちに何の罪があるってんだよ。なァ?ステラ?」

「うん…、皆僕たちに怯えてる。異能を持ってるから。ストラト、あまり大声でこの話をしない方がいいよ。冷たい目で見られてしまう。」


そんな会話を毎日しながら生きていた双子は、後に3つの国の頂点に立つこととなります。とある人物と一緒に…。


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