中央の國は僕たちにとって、限界を決める鳥籠でしかなかった。
毎日毎日双子の僕らを崇め、敬うような目の奥に、汚い欲望が透けて見えるような人達がうようよと寄ってくる。
気持ち悪い。でも圧巻だった。
そう感じるに僕とってストラトだけは味方だった。
僕と同じ顔なのに、考えがまるで違う。
興味がそそられる。
小さな頃から髪はせせらぐ川のようだと、目はアクアマリンのようだと、少し痩せた腕は、白銀の真雪の様だと。
そう言われ続けてきた。
隣で不愉快そうな顔でそれを聞いて、2人になったら顔を緩めて罵倒するのは、とても気持ちが良かった。何だか僕達だけの世界で、他の人はただのジオラマなんじゃないかと、ただのものなのではないかと錯覚するほどに、一種の壁のような物を僕らの周りに作って隔てていた。
「俺たちはずっと一緒だ。な!ステラ!」
「もちろんだよ、ストラト。」
「「何があっても、どんな時でも。」」
まだ僕たちが小学院にも通わないような歳の頃。
小さな小さな教会で、駆け落ちをした男女と、その友人の様な人が誓いの言葉を呟いているのを聴いた。
僕らが告げる約束も、誓いの言葉であると、小さいながらに考え、毎日言っていた。
「汝、ストラトは、吾ステラを片割れとし、良き時も悪き時も____」
「富める時も貧しき時も____」
「病める時も健やかなる時も____」
「共にあゆみ、他の者に依らず____」
「死がふたりを分つまで____」
なーんて。ずっとずっと、つらつらと。
僕たちの力は膨大な魔力、いや、魔力だけじゃない。精神力、体力、他にもいろんな目に見えない力を精錬させる。
それぞれに見合う力ならより研ぎ澄まされる。
初めてそれを知ったのはおそらく9歳だった頃。余り覚えていないけれどその辺だった。
同じ学園の友人達の前でそれが発覚してしまった。
ひとりは「すごい」と言った。
ひとりは「こわい」と言った。
最後の一人は嬉しそうに「ずっと友達でいてくれ」と言った。
僕はその時から人の感情を注意深く読めるようなセラピストと同等であったから、僕達を手駒にしようとする気配にストラトの手を握った。
それからはずっと2人きり。
関わるのは上っ面だけだった。
そんな僕たちの世界をあいつが変えた。
思い出話になってしまって、悪いね。
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