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偽ライムの教え

公開日時: 2020年9月24日(木) 16:33
文字数:1,506

 

 飛沫を浴びながら水しぶきの先で、紫紺の雷がちらつくと同時に吠えるような声が耳を突き刺す。

 

 俺と違って二刀流かよ――。

 

「サぁ! イクゼ!!」

「っ――! いきなり怒りの感情!」

「口動カス暇あるなラ動けヨな! 相棒!」

 

 天まで上がる勢いで沸き上がった水しぶきを横に真っ二つに紫紺の電流が斬る――。その斬撃は鳶の声を上げるように、斬り払おうと振り下ろす俺の刀に激突し、霧散する。一瞬の注意が斬撃に向けられた俺の視界は偽ライムの姿を捉える前に、右肩を刀が貫通した。

 

「うっ!!」

 

 十メートル程の距離で偽ライムは左掌をこちらに向けると、惹かれるように肩を貫通した刀が引き抜かれ、呻き声を上げたと同時に柄をしっかりと握る音が聞こえる。

 

「安心シロ。ここはスサノオのココロの中だ。どんなに傷ついテモ、ヴェガスの方の肉体にハ問題ねー」

「ヴェガスの肉体には……か」

「アァ。オレは生身ノお前を殺す気はネェヨ。俺まで消えチまうカラナ……。でもセメテ死の淵マデは案内してヤルよ!!」

 

 やらせねー……!

 

「コンバートスキル……羅刹・黒歯!!」

 

 スキルの声にすると前に比べすぐに効力を発揮し、偽ライムの右肩に風穴が開く。

 

 ……前回は傷の箇所が二か所。もしかしてドレインする箇所は抽選で決まる完全なランダム制なのか? それで前回は遅れて発動した……。まぁ、兎に角今回は効力をすぐに発揮でき――。

 

「……やっぱお前。バカだナ」

「まさ——!」

「コンバートスキル! ラセツ・コクシ!」

 

 塞ぎかけた風穴はまた開き、俺は海面に膝を着ける。

 

「う――!」

「さっきモ言ったろが! 俺だってスキルが使えルんだヨ」

 

 両手の刀をそれぞれの肩に乗せ余裕の笑みを見せる偽ライムに、俺は軽く息を吐いて眉を顰めた。

 

 羅刹・黒歯のドレインをそのまま返す。そんな事も出来んのか……。次羅刹・黒歯が使えるのはクールタイムの五分後――。使ったとしても後出しのあいつの方が有利なのは変わらない。違う手立てを、考えろ……。

 

「なに考えテンのか知らねェが……。俺にハ伝わらネーって事ハ負けヲ認めタ訳じゃねーミタイだな!」

「当たり前だろ! 本当に癇に障る野郎だな!」

「アはハは! お前タチが生みのオヤだろ!!」

 

 くそ! 突っ込んでくるかよ――!

 

「おおお!!」

「イイねぇ!! 骨まで刀ノぶつかる振動が伝わルゼ!!」

 

 二本の刀を交互に振り下ろし、振り上げる攻撃に全力ではじき返す攻防が続く中、刀身を纏っていた紫紺の電流が消える。それが何を意味するのか理解するも、対策なく簡単に空高く吹き飛ばされ、宙を舞いながらなんとか着地と水しぶきを上げた。

 

「どコがコントロールするダぁ?」

「いっ――! そんな臨機応変に喜びの力も出せんのか」

 

「……。お前タチ人間、そして神。ナンでハッキリと物事を言わネー時がアンだ?」

「言わなキャ。相手ニハ伝わらナイ事もアルダロぅ? 相手の気持ちにナって見たコトアンのか?」

 

 両刀を海面まで下げる偽ライムは、苛立ちを込めた震える声で捲し立て、歯を食いしばる。

 

「伝ワリさえシテナイ相手はオマエらのソノ気持ちが分かラズ、考え、不安ニさせる。ソコから余計な計らイが生まレ――。言わねー本人は原因がジブンにアル事にも気付カズ。次第に絆にヒビが入ル……」

 

刀を構え直し、奴の行動に注意を払いながら、俺は目を細めた。

 

「……何が言いたい」

「まさニそれサ!!! 目を背ケ、タダ逃げてるダケジャねーか! 俺ハ違うとか思ってんノカ!?」

 

 ただ静寂が訪れ、偽ライムは右手に握る天叢雲剣の剣先を静かにこちらに向ける。

 

「ナぁ。相棒。ライムはオマエの中で何だっタ?」

「どう、いう意味だ?」

「ただ憧れテタだけか? いや、違うナぁ。真っすぐで明るいライムを妬んデモいたよナ?」

 

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