冒険者だと!!ステータス職業の中で転生したばかりの日本人が何も知らず真っ先に選ぶ、超不人気の最低職の冒険者になるだと!?
冒険者になった奴は大体がすぐ後悔して、別の職業に転生した後に「冒険者になるんじゃなかった」て漏らすのがお約束なんだぞ!
「ねえ、冒険者になるのはおススメしないわよ」
冒険者になる、と聞いたソフィーはカオルを静止しようとする。俺もこれには乗っかろう!
「カオル、悪い事は言わない、冒険者になるなんて損だぞ!それになった奴らはな、大半がすぐに転職するからな!やめておけそんなゴミ職!」
「ゴミで悪かったナァ!ゴミでよお!!」
俺の言葉に反応した誰かがヤジを飛ばしてきた。恐らく本職が冒険者の人だろう。気にせんとこ。
「いやいや、冒険者ですよ!説明欄に汎用性が高くてあらゆる職業の代理となれます、どんな職業になりたいか決まらない人に最適です、て書いてありますよ!」
「いいかカオル、この説明は一見役に立つかと思うだろ?そうじゃないんだ、強い冒険者になるためには他の職業に比べて3倍、レベルを上げなくちゃいけないんだ」
カオルは3倍という言葉には驚いていないが疑っており、眉を潜める。
「冒険者は別名、器用貧乏職と言われていてな、冒険者は最低3つの職を代理しなくちゃいけいし必要なポイントは2倍になってるんだ、普通は50レベルで討伐クエストをこなせるようになるから、冒険者はそこまでにレベルを満たした頃は他じゃ最強になってるんだ」
俺は冒険者がなぜお薦めしない職業なのかをしっかりと説明した。もしカオルが冒険者になったとしよう、カオルは今店を開くための資金調達のためにクエストや仕事をしなくちゃいけない、それで冒険者だとしたら?こなすクエストに遅れを取り、高額なクエストをこなして資金の調達は難しくなるのだ。
ソフィーが俺の説明に後押しするように、説得をする。
「キリヤの言う通り、冒険者は誰もなりたがらないぐらい、かなりハードルが高いのよ、専業にしてる人なんて頭の中が終わってるわよ」
「まだ終わってねええよ!!」
さっきヤジを飛ばした奴がまだ飛ばしてきた。
「てかカオルさあ、あなた日本人だからスマホで他の日本人からどの職業が良いのか尋ねてみたら?」
「ああ、なるほど!」カオルは両手をポンッと叩くと、スマホを取り出して画面を開いて操作を始めた。
「まあ職業を選ぶのはお前の自由だから、俺たちの言ってる事に従わなくてもいいし、それで意見やアドバイスを聞き入れて選びなよ」
カオルは俺からのアドバイスに「・・・・それじゃあ、分かりました」と受け入れて、顔を再びスマホに移して操作しながら、1人で受付に足を運んだ。
その光景を見ていたソフィーは心配した表情で。
「あの子、大丈夫なの?なんか少し見てるだけで後先が不安になっちゃうんだけど」
「大丈夫だろ、あいつとはまだ2日間しか付き合ってないけど、意外と真剣な時は真剣だから、大丈夫なはずだから」
「どういう場面で?」
「そうだな、まあ料理のところで真剣になってたな、あいつ、飯屋を開きたいて言ってたからな、お前は見ていないけど、その時のカオルの表情は凄かったぞ」
「それ以外は何か見せていた?」
「え?それ以外?」
ソフィーのこの質問の攻めは、まるで欲しい情報のすべてを吐かせようとする尋問官のようだ。
ソフィーの質問通りにカオルが真剣だった所、それに近い所を思い探った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ない。
全くもってないぞ、どういうことだ?いや、待てよ、たしか宝石を喰ってたギガフロッグ腹を割く時は真剣に見てたな、でも他が何一つ浮かばないぞ。
「いやでもまだ出会って2日だし、これからだよこれから、・・・・きっと」
俺がカオルをフォローすると、ソフィーは神妙な表情へとなり、言い返してきた。
「私、何年も受付嬢を勤めてるから、毎日いろんな人を見て対応してるじゃない、だからその人を一目だけ見るとね、どういう人なのか分っちゃうのよ」
やめろ。
「カオルをね、一昨日から見てちょっと想ってたけど、その時は保留したのよ」
やめろ、やめてくれ!
「でも、今日ここであの子がどういう子か、ハッキリ分かったわ」
やめてください!!これ以上は何も言わないでください!!お願いします!!
「キリヤさん!ソフィーさん!職業を就けましたよ、私!」
ソフィーの発言をタイミング良く割り込んでくれたカオルは、意気揚々とステータス画面をオープンにして、俺たちに見せてきた。
「日本人のコミュニティチャットで相談したら「日本人ならまず最初になるべき職業があるからそれになるべきだ」て教えてもらったので」
なんだ、この胸に空いた穴から通る風のような悪寒は!?今から数秒だけ音の無い世界に変えてください!神様!!
「冒険者になりました!!」
「やっぱり、あなた頭が悪いのね!」
なんでこうなるんだよーー!
「お前!さっきあれ程言ったよな、冒険者は止めとけって!なんで選んでんだよ!?もう教えた俺が馬鹿じゃねえか!」
俺はカオルに半泣きで怒る形で説教を始めた。それはまるで全幅の信頼を置いた友人に約束事の全てを破ら、踏みにじられた気分だ!
俺のこの激しい反応に、カオルは怯えて「あ、あの、のーー」と狼狽えても言い返してきた。
「だって、チャットの掲示板でみんなが冒険者になれって!!」
俺とソフィーにスマホの画面を見せて来た。ソフィーといっしょに、画面に写ってる小さな文字を覗き込むように、顔を近づけて読んだ。
掲示板のお題は、昨日から転生したばかりなので、ステータス職業の事は何1つ分かりません、最初は何になればいいのですか?親切に教えてください、女性です。と書いてある。
この相談の内容に対して、どう答えているのか画面を下に流してコメントを読んでみた。
返って来た答えは、日本人ならまずは冒険者になるべきだ、て書いてあった。
それも何十件もそんな返事が寄せられてやがる!あの短時間でどれだけ冒険者を推してくるんだよ!ヤベーだろもうこれ!
てかコメントに、他の職は難しいけど冒険者は初心者向きだからそうしなさい、冒険者の代理スキルでいろいろ試して自分に合ったスキルが決まればその職に転職したほうがいいよ、ポイントは戻せて使えるから、て丁寧に冒険者へと誘導させてやがる。
てか1度使用したスキルポイントは戻す事なんて出来ないぞ!何平然と嘘を吹きこんでんだ!
なんか今度は写真が出てきたけど・・・・?これチ○コの写真じゃねえか!!セクハラまでしでかす奴も沸いていやがる!
ソフィーがこれを見たせいで、今まで見たことが無い引きつった表情を出してる!
そういえばヒビキから、いっしょに酒を飲んでた時に聞いたことがある。転生したばかりの日本人をハードルの高い職に就けさせたり、嘘の知識を吹き込ませて困らせたり、とそんな最低な事が最近、一部の日本人の間で流行ってるらしいと。
聞いた時は冗談だとは思ったが、まさか本当にやっていたなんて。信じて覚えていればちゃんと注意して対策してたのに。
チ○コの画像で怒りが心頭したのか、ソフィーがカオルに怒り声で喋る。
「こんなの真に受けちゃダメよ!まだポイント使ってないんでしょ!?だったら今すぐ転職させるから来て!」
カオルの腕を強く握り掴み立ち上がったソフィーは、強引に転職させようと受付へと連れて行こうとした瞬間。
「もうポイントは使っちゃいました」
「ハイイイイイッ!!」
ソフィーが俺の汎用を代弁してくれたように叫んで。
「ポイントを使ったて、それ本当!?どこに使ったのよ!!」
ソフィーの勢いに押されてカオルは狼狽えながら答える。
「え、えっとぉ、防御力に全部」
「防御力に全部!?何やってるのよ!!」
ソフィーの叫び声が役場に成り響いて、周りがまたこちらを注目した。受付嬢とは思えない姿勢でカオルに説教し始めた。
「あなたね、ホント勿体ないことをしてるわよ!あなたのレベルは今12でしょ!?ここに来てすぐ上がったのになんでそんな無駄遣いをしちゃうわけ!どうかしてるわよ!」
「だって、こういうのはまだ分からないから」
「だってじゃないでしょ!?分からないだろうがどうだろうが、自分でヘマをかましたのよ!そういうところは分るでしょ!?キリヤがいるから恵まれてるのにどうしてそんな事を!」
「待てよソフィー、カオルを責めるなよ、この件はカオルは悪くない、こいつはただ悪い奴に騙されて冒険者になったんだ、だから」
「だから、て何よ!?」
ソフィーは言い返す。
「そんなことを許したらキリが無いわよ!キリヤ、あんたはずっとこういう人たちを一人前かまともに育てることをし続けてるけどね、自分がまず喰っていけなかったら意味がないんじゃないの!?」
「それはそうだけど、でも俺がいなかったらどう進んだらいいか分からないやつとか、行く充てがない奴らが困るだろ!」
「それね、あなたがやらなくても大丈夫よ、そういうのはもっといるから、矛盾してるのよ!金が無くて困ってるのに、下の人たちを手助けして金回りの悪いクエストをして、そして金が無くて困る、ずっとその繰り返しじゃない!おかしいわよ!」
今までの俺に対する、溜めていた不満を吐き出すように指摘してきた。ソフィーの言ってることは間違っていない、反論はしたいが言葉が喉につまり、言い返せずにただ座り込むしかなかった。
「だいたい勿体ないのよ、あなたは魔術師なのにこんな事しているのは」
ソフィーのこの発言に耳に入った俺は、反射的に立ち上がり。
「魔術師とかそういうのは関係ないだろ!魔術師だからってこういうのはやっちゃ駄目なのかよ!?」
「私はそこまで言ってないわよ」
「じゃあ何で魔術師なんて口にしたんだよ!」
「それはーーーーっ」
俺は魔術師だという理由を大人げなく無意味に、声を荒げて詰めてた。
こういうのはみっともないてのは解かっている、でも魔術師だからちゃんとしろ、て言われたら自分を半ば否定されてる感じがするんだ!
それが本人にそんな意思が無かったとしても。
「もう、いいです」
カオルが声を出して俺たちの揉め合いを割り込んで止めた。
「すみません、2人が教えて説得してくれたのに、それよりも知らない相手のアドバイスを優先して、2人の情を水の泡にしちゃって、・・・・・・ごめんなさい」
カオルの謝罪に、俺とソフィーは冷静になって沈黙をし、揉め合ってた言葉で響いてた酒場が静かになった。
静寂が数秒走ると、カオルは1人、酒場から出て行こうとした。
「店長さんの家に帰るだけですから、大丈夫ですよ、道は覚えていますから」
俺とソフィーは何も言い返すことなく、酒場から出て行くカオルの背中を見続けた。
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